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2 アレルギー科医師「リレートーク」第10回/メールマガジン95号

 11月に入り、夜は少し肌寒くなって来ましたが、日中はまだまだ過ごしやすい季節ですね。
 秋は食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋など、色々な事をするのに良い時期です。そんな季節に僕も街をぶらぶらしていたら、今池交差点に馬の親子の像がある事に気がつきました。皆さんも見た事あるでしょうか?この3頭の馬の像を。なぜここにあるのだろうと興味が涌き調べてみる事にしました。

                      
 すると、昔は今池の周辺はため池が多い地域で、街道のすぐ近くにあったため池で馬に水を飲ませたり、水浴びをさせたりしていたそうです。その池がいつしか『馬池』と呼ばれる様になり、更にそれが訛って『今池』となったそうです。なんと、地名の由来になった馬が交差点に鎮座していたのです。面白いですよね。
 例えば、『ミシン』や『ラムネ』といった様に他にも日本語の中には、訛ったり、聞き間違えがそのまま定着した言葉が多くあります。興味のある方は是非調べてみて下さい。

 そんな地名の由来を調べてから少しして、この原稿の依頼が来ました。ふと普段頻繁に使っている『アレルギー』と言う言葉はどこから伝わってきたのだろう。元々はどんな意味なのだろう。と思い、調べてみる事にしました。

 まず有名な国語辞典である広辞苑を調べてみると、以下の様な内容が記載されていました。

アレルギー【Allergieドイツ】

抗原として働く物質の注射・摂取により抗体を生じ、抗原抗体反応をおこす結果、抗原となった物質
に対する生体の反応が変る現象。広義には免疫すなわち抗原の害作用への抵抗の増大も含まれるが、
狭義には反応の変化の結果傷害的な過敏症状を呈するものをいい、アナフィラキシー反応、アレルギー性細胞傷害、免疫複合体反応(アルツス反応)、遅延型過敏症(細胞性免疫反応)の各型がある。
アレルギーの原因となる抗原物質をアレルゲンという。1906年オーストリアの小児科医ピルケ
(C. Pirquet1874〜1929)の命名。

 オーストリアの小児科医がドイツ語?と思いましたが、当時は医学と言えばドイツと言う事から来ているのでしょうか。

 ではその「アレルギー」と言う言葉はどの様に生まれたのでしょう。更に詳しく調べてみると、起源はドイツ語ではなくギリシャ語でした。ギリシャ語で「変わった」/「奇妙な」を意味する「allos」と、「作用」/「反応」を意味する「ergon」を合わせ、ドイツ語風にした造語だと言う事がわかりました。ドイツ語風って言うのが可愛らしい感じですが、元々の意味は「奇妙な反応」と言う事です。

確かに今でこそ医学は発達し、情報もネットで直に得る事が出来る世の中でアレルギーとは比較的当たり前な出来事になっているのかもしれませんが、1世紀以上も前であれば「奇妙な反応」と言う言葉がしっくり来たのかもしれませんね。

 さて、今回の内容はいかがでしたか。日常の中で何気なく使っている言葉を調べてみるのも面白いかもしれませんね。皆さんもそれぞれの秋を楽しんで下さい。

あいち小児保健医療総合センター
アレルギー科 林 直史

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2014年10月30日 12:42に投稿されたエントリーのページです。

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