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1、新年のご挨拶 アレルギー支援ネットワーク 理事長 坂本龍雄/メールマガジン133号

  新年明けましておめでとうございます。昨年は格別のご厚情を賜り心から御礼申しあげます。本年もより一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。
  アレルギー支援ネットワークにとって、今年はとてもチャレンジングな年になりそうです。「アレルギー大学」を全面刷新・リニューアルしました。「アレルギー大学」は2006年に開設されて以来、食物アレルギーの専門知識を体系的に学ぶことができる全国唯一の市民講座として着実に発展してきました。食物アレルギーの原因食物を正しく診断することができる、栄養バランスを損なうことなく原因食物を適切に除去することができる、アドレナリン自己注射器「エピペン®」を活用し、アナフィラキシー事故に迅速に対応することができる、これらはいずれも「アレルギー大学」の中心的なディプロマ・ポリシー(教育目標)です。
  しかし、この数年、食物アレルギーに関する知見や経験が驚くほど膨らみ、ディプロマ・ポリシーの書き換えが不可避となりました。離乳食の開始時期を遅らせると食物アレルギーの発症リスクが増加すると考えられるようになり、以前の常識が通用しなくなりました。ピーナッツを含む食品を離乳食として早期導入することで、ピーナッツアレルギーの発症を予防できるという確証的な研究結果が発表され、早速、欧米ではその成果が保健指導に活かされています。わが国でも鶏卵で同様の研究結果が示されましたが、早期導入の有効性を引き出すための必要条件(皮疹の厳格なコントロールや微量加熱鶏卵の連日投与など)の制約から、これを保健指導に活かすにはまだまだ多くの課題が残されています。
  経口免疫療法の有効性とその限界が明らかになってきました。「食物アレルギー診療ガイドライン2016」には、経口免疫療法は「臨床研究として(アレルギー専門医が)慎重に施行すべきである」と明記されています。しかし、わが国ではすでに8000人もの患児がこの治療を受けており、臨床研究の域をはるかに超えているのが実情です。この数字は他国と比べても突出しています。「食物アレルギーは経口免疫療法で治せる」という過大な評価が広まっているようです。こうしたなか、昨年11月、神奈川県立こども医療センターから「牛乳アレルギーに対する急速経口免疫療法後の維持療法中に生じた重篤な有害事象」が報告されました。想定外の有害事象ではないことから、改めてこの治療の限界や危険性に目を向ける必要性があります。食物アレルギーの理解が進んでいますが、そのコントロールはまだ神の手にあると思います。
  花粉・食物アレルギー症候群、ラテックス・フルーツ症候群などといった病名がすっかり定着しています。吸入アレルゲンや接触アレルゲンが食物アレルギーの発症に重要な役割を担っていることは間違いないようです。大好物だった食物が突然食べれなくなる事態や多種類の食物アレルギーを抱え込んでしまうケースは吸入アレルゲンや接触アレルゲンの関与が極めて濃厚です。また、湿疹が食物アレルゲンによる経皮感作を増大させることから、スキンケアが食物アレルギーの発症予防に繋がるであろうという学説が注目されています。
  この10年、食物アレルギーが他のアレルギー疾患をしのぐ勢いで増加しています。看過できない重大事態です。リニューアルした「アレルギー大学」で一緒に勉強しませんか。
  アレルギー支援ネットワークは喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に優しい生活環境を築くことも使命としています。この2月12日(月曜日・振替休日)に、名古屋大学大幸キャンパスでダニや花粉から健康を守るための講演会を開催します。日本アレルギー協会東海支部との共催です。ダニや花粉アレルギーの予防のために空気清浄機や寝具、室内インテリアなどを開発している技術者にも講師として加わって頂く予定です。また、この分野の免疫療法に関する最新情報も提供します。何とぞご参加ください。アレルギー支援ネットワークはホームページを活用したアレルギー疾患の情報提供にも力を入れたいと思います。すでにホームページのリニューアルに着手していますが、ご意見やリクエストをお待ちしています。
  末筆ながら、皆様のご健勝をお祈りいたします。そして、アレルギー支援ネットワークへの変わらぬご支援をよろしくお願い申しあげます。

認定NPO法人 アレルギー支援ネットワーク 理事長
中京大学スポーツ科学部
坂本龍雄


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2017年12月29日 17:37に投稿されたエントリーのページです。

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