被災地沿岸地域のアレルギー支援【6月に東北事務局を開設】

2011年3月11日、新潟市役所内で打ち合わせをしている時に東日本大震災がおきたため、アレルギー対応の食品などを新潟に集め、緊急車両の許可申請をして2日後には、宮城県、岩手県、福島県に支援物資を運んだ。当初は、現地の状況を把握するのが精いっぱいであったが、被災地を駆け巡る支援活動を経て、3カ月後、ようやく被災地にアレルギー支援ネットワークの被災地事務局(「東北事務局」)を開設することができた。それまでは毎月、1~2週間程度のボランティアを派遣し、その都度、宿泊場所の確保に苦労した。この時期の支援活動は現地責任者がおらず、ボランティアの献身的な活動に委ねられるという状況があり、活動には大きな困難を伴っていた。こうした状況を打開し、アレルギー患者からのニーズをより早く把握し、毎日計画的に支援活動を継続できるようにするため、被災地での事務局の開設は緊急の課題であった。「震災がつなぐ全国ネットワーク」を介して日本財団から車両支援(G-Class)を受けることができ活動の範囲が格段に広がり、協力団体の紹介で大船渡市の気仙教育会館の一室をお借りし、常駐スタッフを置いて、中・長期的なアレルギー支援活動を展望した活動を開始した。名古屋の事務局からは、災害担当理事が、ほぼ定期的に、毎月1~2週間程度被災地に赴いて、スタッフとともに沿岸地域を走り回った。発災直後は、食料支援の要望が多かったが、その頃には、ぜん息やアトピー性皮膚炎の症状が悪化したというご相談も多く寄せられた。

【お届けした支援物資】

重症なぜん息患者への吸入器支援は、個別支援、医療機関を合わせて150台以上支援したほか、食物、肌着、マスクなど100種類以上の支援物資(1,700万円相当分)を、お届けすることができた。

【アレルギー支援の周知】

大船渡市・陸前高田市・住田町のすべての仮設住宅を訪問し、アレルギー支援のポスターを掲示板や集会所に貼るなどの周知活動を行った。また、岩手県沿岸地域の保育園・学校を訪問し、アレルギー用のおやつや、給食対応食材の情報提供、試食品の提供、災害時の備蓄品などの提供を行った。

【講演会やミニアレルギー講座の開催】

栄養士・保育士など専門職が、アレルギー児をサポートできるよう、大船渡市、釜石市でのアレルギー講演会をはじめ、ミニアレルギー講座を両市で13講座開催し、延べ180人の参加があった。

【アレルギー支援への理解を広げる活動】

(2011年6月名取市、参加人数 延べ約500人)現地の災害支援団体と協働し、地元住民の朝市の会場で熱気球をあげる取り組みやアレルギー食の試食会を行った。
(2011年8月大船渡市、参加人数 延べ約400人)熱気球をあげ子どもたちを励ますイベントに協力、アレルギー食の試食会、アレルギー支援の紹介を行った。
(大船渡市・陸前高田市の子育てグループへの支援) 毎月の定例会・イベントに参加・協力し、アレルギー患者のサポートを行った。