問 診
食物アレルギーの診断は、食べたときの症状をしっかりと把握することが一番大切です。食べた食品や量、症状の様子、食べてから症状出現までの時間などを専門医が確認すれば、食物アレルギーによる症状かどうか、大部分は予測をつけることができます。
血液検査(IgE抗体)
血液を検査して、IgE抗体があるかどうかを調べます。病院によって検査法が多少異なりますが、結果は0~6といった抗体価(スコア・クラス)で表示されます。スコアが高いほど、抗体がたくさんあることを示しています。
抗体価の高さと症状の強さは、一致するとは限りません。例えば、卵白がクラス4でもゆで卵が食べられる人がいます。一方、クラス2でもアナフィラキシーを起こす人がいます。また、食物の除去をしても、抗体価が下がるとは限りません。
抗体価の値だけにとらわれずに、除去が必要かどうかを判断するためには食物負荷試験が必要です。
血液検査(ヒスタミン遊離試験)
血液とアレルゲンを混ぜ合わせて反応させ、実際のアレルギー反応と同じようにヒスタミンが作られてくるかどうかを調べる検査です。一般の保険診療でも検査できますが、検査できる食品は限られており、結果の解釈には専門の知識が必要です。IgE抗体が陽性だけれど、本当に働きがあるかどうか確認したい、という場合に役に立つことがあります。
皮膚プリックテスト(スクラッチテスト)
アレルゲンの試薬を皮膚に1滴のせて、専用の針で皮膚に小さな傷をつけます。15分後に判定をして、蚊に刺されたように赤く腫れていれば陽性です。IgE抗体の検査とほぼ同じ意味があります。採血の必要がなく、手軽にできてその場で結果がわかる、値段が安いという利点がありますが、アレルギーの強い人の場合、全身に反応が起きる危険がありますので注意が必要です。
食物除去試験
アトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹の原因として食物アレルギーを疑った場合は、疑わしい食品を2-4週間完全に除去して症状が改善するかどうかを観察します。母乳栄養の赤ちゃんの場合は、お母様も除去が必要です。
試験的な除去の場合は、疑わしい食物を含むと思われるものは、できるだけ幅広く厳密に除去をすることが必要です。また、主治医とよく相談をして、除去試験を行う期間を限定し、必要ならば食物日誌を記入し、症状の変化を注意して観察します。
症状が改善した後は、可能ならば確定診断のために食物負荷試験を行います。症状の改善がなければ、むやみに除去する食品を増やすのではなくて、除去試験を中止します。
食物負荷試験
実際に食べてみて症状を観察する方法です。原始的な手段ですが、食物アレルギーの診断でこれに勝るものはありません。
テストのやり方は、病院によって様々です。ごく少量から始めて、15-20分毎に量を増やしながら繰り返し食べていく方法が標準的です。例えば、あいち小児保健医療総合センターでは次のような方法を取っています。

それぞれ、20分間隔で症状を確認しながら進めます。最後に食べる量は、年齢や予想される症状の重さによって変化します。
食物負荷試験は、手間と時間がかかる上に、症状が出現したときの緊急処置ができる準備を整えて行うことが必要です。平成18年4月からは、必要な条件*を満たした施設が保健所に届け出をした上で、入院で行う食物負荷試験が、保険診療として認められました。あいち小児保健医療総合センターでは、毎日4人までの食物負荷試験を日帰り入院で行っています。
*食物アレルギーの診療に10年以上の経験がある常勤医がいる、緊急処置に対応できる準備を整えている、食物負荷試験の必要性や方法などを患者に説明する文書などを準備しているなどの条件が求められます。
過去にはっきりとした即時型アレルギーを起こしたことがある食べ物を、「ちょっと家で食べてみてごらん」というのは、大変危険なことです。