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アレルギー物質に関する食品表示

 アレルギー物質の食品表示を読む場合には、いくつかの注意が必要です。下記の点を理解し、誤ってアレルギー症状が出てしまうことのないようにしてください。詳しくは、消費者庁のホームページ(http://www.caa.go.jp/foods/index8.html)をご参照ください。
 

  1. 表示される原材料は25種類に限られます。このうち、表示義務があるのは、卵、乳、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かにの7種類のみで、他の18種類(あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、ゼラチン、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご)については、表示することが「推奨」されています。したがって、「推奨」の食品は必ず表示されているとは限りません。
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  3. 容器包装された加工食品のみに表示義務があります。したがって、対面販売されているような容器包装されていない商品には表示義務がありませんので注意が必要です。
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  5. 包装面積が30㎠以下の小さな商品には表示義務がありません。アレルギー物質の表示がないからといって、小さな商品は必ずしも安全とは言えないことになります。
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  7. アレルゲンのタンパク質が、加工食品1g中に数マイクロg以下の濃度でしか含まれない場合には表示義務がありません。しかし、これを大量に摂取した場合には、症状が誘発される可能性が全くないとは言えません。
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  9. アレルギー物質について、「原材料の一部に●●を含む」というように、最後にまとめて一括表示される場合があります。これは、あくまで「いくつかある原材料のうちのいずれかにアレルゲン物質を含む原材料がある」という意味で、「一部(=わずかな量)しかアレルゲン物質が含まれていない」ということを示しているのではありません。つまり、「一部●●を含む」と表示されていても、アレルゲンの量が少ないから安全とは言えないことになりますので注意が必要です。
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  11. 「○○を使用した商品と同じ製造ラインで生産しています」というような注意喚起表示は、欄外に表記してもよいことになっています。しかし、この表記は義務ではないため、記載されていないことが「製造ラインを共有していない」ことを保証する訳ではないことを理解しておく必要があります。
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    アレルギーと紛らわしい反応

     ヒスタミン・セロトニン・チラミンなどの生体アミン類や、神経伝達物質の一つであるアセチルコリンなどの化学物質により、アレルギー反応と同様の皮膚の赤みやかゆみが引き起こされることがあります。これらの化学物質を多く含むことがある代表的な食品には、サバ科の魚(サバ、マグロ、カツオなど)、チーズ、山芋などがあり、摂取した直後に口周囲が赤くなってかゆくなるなど、即時型食物アレルギー反応に似た症状が出現しますが、多くは一過性で1時間以内には消失します。
     特定の食物が、抗体やリンパ球などの免疫とは無関係に症状を起こすことがありますが、免疫がはたらいて起こるアレルギーと区別して食物不耐症と呼ばれます。乳糖を消化できないために、牛乳を飲むと必ず下痢をする乳糖不耐症や、脂っこいものをたくさん食べると下痢や湿疹が悪化する場合などが代表として挙げられます。
     

    授乳中のお母さんの食物除去

     母乳中には、お母さんの食べた食物が1~5時間後くらいまで母乳中に出てきます。その濃度は、アレルギーを起こす最低濃度よりもさらに千分の1程度と薄く、さらにそのアレルゲンがお母さんの免疫にブロックされているため、赤ちゃんが母乳を飲んでアレルギー症状を起こすことは少ないと考えられます。
     しかし、一部のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんでは、お母さんが特定の食品を食べると湿疹が悪化し、お母さんがそれを食事から除去すると湿疹が改善することがあります(「食物アレルギーと湿疹の悪化」の項を参照)。赤ちゃんの湿疹の悪化にお母さんの食事内容が関わっていると疑われた場合は、主治医によく相談しながら方針を決めてください。
     湿疹が良くなって赤ちゃんが10か月くらいになると、お母さんが多少アレルゲンを食べて授乳しても症状が出なくなってきます。お母さんが加工品まで厳密に除去しなければならない期間はそれほど長くありません。
     

    妊娠中の除去食によるアレルギー予防

     妊娠中・授乳中に卵や牛乳など特定の食物を除去して、赤ちゃんのアレルギーを予防できないかという研究は、以前から世界中で行われています。その結果、すべての研究でアトピー性皮膚炎やぜん息などのアレルギー疾患全体を予防することに失敗しています。つまり、妊娠中の除去食でアレルギーを予防することはできません。
     妊娠中から授乳中にお母さんが卵を完全に除去すれば、卵アレルギーを予防できる可能性はあります。しかし、そのためには卵をごく微量含む食品をすべて完璧に除去することが必要で、卵料理だけを控えても予防効果は得られません。また、仮にお母さんが卵を完璧に除去をしても、小麦アレルギーは予防できません。
     現在、日本を含むすべての国でアレルギー予防のための食物除去は推奨されていません。
     

    経口免疫療法

     乳幼児期に発症した食物アレルギーは、多くの場合耐性を獲得して自然に治っていきます。しかし、一部の重症な食物アレルギーを持つ人では自然に耐性が獲得されず、学童期になってもアレルギー症状が出るために除去食を続けなければならないことがあります。経口免疫療法は、このような重症度の高い食物アレルギーの人が、敢えてアレルゲン食品を摂取し、体を慣れさせてアレルギー症状が起こらないようにしようという治療法です。
     2週間程度入院して急速に摂取する量を増やす急速法と、自宅で少量からゆっくり増量する緩徐(かんじょ)法があります。いずれの方法も、少なくとも1年以上はアレルゲン食物を食べつづける必要があり、食べるのをやめてしまうと再び少量でアレルギー症状が出るようになってしまいます。
     除去していたアレルゲン食品を敢えて摂取していきますので、強い症状が誘発されるリスクがあります。自分の判断で経口免疫療法を自宅で試してみるのはもってのほかですし、日本小児アレルギー学会では「体制の整った施設で専門医が実施するべきであり、一般診療で行うべきではない」とされています。