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10 事務局の窓辺から /メールマガジン47号

事務局の窓辺から
  事務局長 中西里映子

地震などの大きな災害がおこり、もし・・・アレルギー疾患をもつ子どもたちが被災したら・・・食物アレルギーがあっても困らないような十分な食料があるのでしょうか?
ライフラインがストップしてお風呂に入れないことでアトピー性皮膚炎は悪化しないでしょうか? 倒壊した建物の粉塵で喘息の発作は誘発されないのでしょうか?
親と離れ離れになってしまい子どもに体調のトラブルがあった時に適切な措置がしてもらえるのでしょうか?
不安はつきません・・・。アレルギー支援ネットワークは「アレルギーっ子の防災対策」をいつも考えています。皆さんは被災時の備えは十分ですか?

10月のはじめに、T市民病院が行う、災害訓練(トリアージ訓練)に参加させていただきました。アレルギー支援ネットワークからは、乳製品の誤食による全身蕁麻疹のアナフィラキシーショックの患者役と、倒壊した建物の粉塵による喘息発作の患者役の、2名参加しました。

この災害訓練は、60人の市民ボランティアの協力により、救急隊による第一次トリアージと市民病院の医師や看護師による第二次トリアージと予定していましたが、訓練当日に高速道路で大きな事故があり、救急隊が戻ってこられなくなりましたので、第二次トリアージ訓練のみになりました。
アレルギー支援ネットワークからは、乳製品の誤食による全身蕁麻疹のアナフィラキシーショックの患者役と、倒壊した建物の粉塵による喘息発作の患者役と、2名参加しました。
患者には付き添い役もいて、声の出せない患者のかわりに症状を説明したり助けてくれと叫んだりしました。
15時からの訓練でしたが、昼にはボランティアが集合し、軽症から重症、死亡まで傷病の状態により、アメリカから輸入した特殊メイクの材料を使って、全員がメーキャップをしました。とてもリアルで、腸や眼球が飛び出たり、腕が切断されたり、ガラスの破片が刺さったりした外傷の患者のメイクをし、チアノーゼや呼吸器、血圧などの状態は、演技できないため手の甲に血圧などの数値を書いたシールを貼りました。60人のボランティアが全員メイクをするのに2時間かかりました。
訓練は救急車で搬送された患者と、歩いて市民病院にかけつけた患者とが入り乱れて、我先にと治療を請う状況の中で、医師と看護師がトリアージを行いました。市民ボランティアの皆さんは名演技で、患者になりきりますので、声の大きい人に惑わされ、外傷に気をとられ・・・、大変な混乱の中、アレルギー患者の治療はどうだったと思われますか? 
乳製品の誤食によるアナフィラキシーショックの患者は、医師が食べ物によるアナフィラキシーと診断しエピペンをうち命は助かりましたが、喘息発作による呼吸困難の患者は、息絶え絶えで訴えても、「吸入」をしてもらえず、ベッドに寝かされてしまいました。これが本番なら命は助からなかったかもしれません。
今回の訓練は、地元の防災士として活動されている方に声をかけていただき、訓練項目に初めてアレルギーの患者が入りました。医師や看護師、市民、自治体(防災課)の職員・・・皆、真剣に訓練を行いましたが、訓練でもこんなに混乱をするという状況を目の当たりにして、訓練の大切さを身を持って体験することができました。アレルギーのことを、もっともっと多くの方に知っていただきたいと強く感じた訓練でした。最後に、市民病院が災害用に備蓄しているアルファ化米を試食させいただきましたが、このアルファ化米は「アレルギー対応」ではありませんでした。是非、誰でも食べることのできるアルファ化米を備蓄してくださいね、とお願いして、訓練は終了しました。日頃よりこのような訓練をされている市民病院の取り組みは素晴らしいと感心しました。
アレルギー支援ネットワークでは、東海・東南海地震などの大災害に備えて「アレルギーっ子の防災救援ネットワークシステム」を構築しています。10/10には、バイクボランティアさんの協力をいただき、被災時の支援物資お届け訓練も行いました。訓練を行うことによって、問題点がより明確になり、十分な備えをすることができます。しかし、アレルギー疾患があるなしに関わらず大切なことですが、被災時に3日間生きることができるような水と食料を各家庭で備えることが基本です。その前に、家が倒壊しないこと、家具が転倒しないこと、これがもっとも大切なことです!!
皆さんの被災時の備えは十分ですか?

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2010年10月31日 19:44に投稿されたエントリーのページです。

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