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1 「アレルギー情報見聞録」第7回 二村昌樹先生/メールマガジン51号

「アレルギー支援の輪」
独立行政法人国立成育医療研究センター アレルギー科
                          二村昌樹先生

ある患者さんと先日外来でこんな会話をしました。
「私の近所のクリニックには、すごい先生がいるんですよ。お若いのに内科と小児科と皮膚科とアレルギー科の専門医の先生なんです。」
「え?専門医なんですか?」
「たぶん、そうですよ。だって看板にそれだけの科が書いてありましたから」
会話を読んでこの患者さんの勘違いわかりましたか?

実はクリニックで看板に標榜している(外部に広告などで掲示している)診療科すべてについて医師が専門医であるとは限りません。
ここで標榜科と専門医について分けて説明します。

まず標榜科ですが、自由標榜制といって一部の科を除いてどの科を看板に掲げるかは制限されていません。またいくつ標榜してもよいことになっています。それによって以前は無制限に表示されていたため、患者さんが混乱してしまうことがありました。そこで平成20年に見直しが行われ、「医師一人に対して主たる診療科名を原則2つ以内」と規定されました。そして「主たる診療科を大きく表示するなどして他の診療科名と区別して表記することが望ましい」としています。この見直しによって医師がどの診療科をより専門に診療しているかが分かりやすくなったわけです。

次に専門医は医師が所属する学会によって認定されるもので、学会によってその認定方法は異なります。たとえばアレルギー科専門医を認定している日本アレルギー学会では、学会に所属して既定の研修をうけたり、試験に合格したりと基準をクリアした医師にのみ専門医資格を与えています。その資格も5年ごとに更新が必要です。多くの専門医資格は広告することができますので、看板に「○○専門医」と書いている先生もいるでしょう。
もちろんアレルギーの病気に対する一流の診療能力があっても専門医の資格を持っていない(資格をあえて取っていない)医師もいますので、専門医でないと十分な診療ができないというわけではありません。

このように標榜科と専門医とは違う意味のものです。そもそも医師は、6年間の大学在学中に医学の基礎から勉強し、臨床実習(ポリクリ)を通じて全ての診療科で必要な知識と技術を身につけています。さらに最近は卒業して国家試験に合格してからも、研修医として多くの診療科の経験を積むことが義務付けられるようになりました。このためクリニックの看板にたくさんの診療科を標榜して、専門医でなくとも知識と経験を兼ね備えた先生もいると思います。どのクリニックに受診したらいいのか困った時は、かかりつけの病院などで症状を伝えて相談されるとよいでしょう。
みなさんも、機会があったらクリニックの看板にどんなことが書いてあるのかご覧になってみてください。

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2011年02月28日 17:35に投稿されたエントリーのページです。

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