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7 瀬戸保健所管内栄養士会研修会」のご報告  事務局長 中西里映子メールマガジン71号

『災害時に備えて栄養士の皆さんが
「非常食」を活用した調理実習(演習)を行いました』

去る9月21日(金)に、瀬戸保健所管内栄養士会の研修会で、「非常食の活用について」演習および情報交換会が行われ、アレルギー支援ネットワーク(中西)がアドバイザー(講師)として参加しました。
 研修では、災害発生後約二週間で、水(2Lのみ)・コンロは使用可能、全体50人の避難所で幅広い年齢層の方が非難されている中で、非常食などそこにあるものを使って、という設定で調理をするという演習を行いました。参加者を6つのグループ(5-6人程度)に分け、それぞれ2グループずつが、
(1)食物アレルギー(卵、牛乳、小麦)
(2)乳児及び高齢者(嚥下困難)
(3)腎臓疾患(蛋白・塩分制限)
の3つのテーマに分かれて献立を作成、調理を行いました。
準備した食材は、参加された栄養士さんの施設(病院・保健センターなど)で実際に非常食として備蓄しているものを持ち寄りました。
各種アルファー化米・缶詰(マグロフレーク・五目豆・果物・味噌汁・トマトジュースなど)・乾物(ひじき・切干大根・乾燥わかめ・干し椎茸など)・水煮大豆・粉ミルク・・・などに加えて、どこでも手に入る、人参・じゃがいも・玉ねぎなどの常備野菜と調味料(塩・醤油・味噌)を準備しました。
アレルギー支援ネットワークからは、アレルギー用のカレー(レトルト)・アレルギー用ミルク・アレルギー対応アルファー化米・・・そして、麺類(小麦)などの代替用として、はるさめ・ビーフンを持参しました。
栄養士の皆さんが実際にどのようなお料理を作ってくださるかとても楽しみに、実習を見学させていただきました。

実際に出来上がったお料理は、

(1)食物アレルギー(卵、牛乳、小麦)
A班 ・ひじきご飯(白飯のアルファ化米、乾物)
・トマトスープ(トマトジュース・玉ねぎ・こうや豆腐・
切干大根・五目豆缶)
B班 ・五目炊き込みご飯(アルファー化米・五目煮缶)
・ツナ炒め煮(味付けまぐろ缶・野菜)

(2)乳児及び高齢者(嚥下困難)
C班 ・豚汁(レトルトの豚汁・缶詰味噌汁・じゃがいも・人参・玉ねぎ・フォローアップミルク)
・味付けご飯(まぐろ缶詰・びじきのアルファ化米)
・フルーツ缶
D班 ・和風カレー(ツナ・こうや豆腐・フォローアップミルク入り)
・ごはん

(3)腎臓疾患(蛋白・塩分制限)
E班 ・大豆カレー
・レトルトのカレーピラフ
・フルーツ缶とさつま芋のレモン煮
F班 ・きのこご飯
・ツナじゃが(人参・じゃがいも・玉ねぎ・五目煮缶)
・フルーツ缶
でした。それぞれの班が、献立の説明と栄養価の評価、工夫した点などを発表し、意見交換を行いました。
アルファー化米を使った献立が多かったのですが、そのまま使うのではなく、皆さんそれぞれ栄養を考えて乾物やたんぱく質をアルファー化米に加えたり、粉ミルクを使用してカルシウムや鉄分などの補給を考えたり、果物の缶詰を利用して献立に変化をつけたり・・・食物アレルギーをテーマにした班は、原材料をしっかり確認して誤食が無いように気を使って作られるなど、とてもたくさんの工夫が見られました。
しかしながら、せっかくアレルギー対応のレトルトカレーを使ってカレーを作ったのに、普通の粉ミルクを加えていたり、缶詰を活用して具を増やしたら塩分濃度が高くなってしまったり、はるさめやビーフンがあるのに麺料理を作った班は一つもなかったり・・・いろいろな気づきがありました。
研修会に参加された方からは、「原材料表示をしっかり確認して、誰でも食べられる献立にしようという工夫が足りなかった」、「演習(訓練)をしてみて初めて気づくことがたくさんあり参加してみてよかった」、という意見が多く出されました。
この研修会に参加をし、災害時の食事に関して、より一層の食物アレルギーに対する啓発活動と、栄養士の方など災害時に食事支援に入られる方は、日頃から練習(訓練)をしておく必要性を強く感じました。
食物アレルギーに対する啓発活動について言えば、地域に患者会があり、患者の親がその地域の防災訓練に参加をして、アレルギーの事を知ってもらうという働きかけをしていくこともとても大切だと思いました。