この度、2013年度の副理事長に就任いたしました。大役を仰せつかり身の引き締まる思いですが、使命を全うすべく、全力をつくす所存でございます。
私はこの春から中京大学スポーツ科学部に所属し、健康学概論の講義と実習を担当しています。また、総合上飯田第一病院のアレルギー専門外来(毎週木曜日)に3年半ぶりに復帰しました。アレルギーとの関わりは30年にも及びます。みなと医療生協協立病院(現在、協立総合病院)で小児喘息の診療に没頭する中、アレルギー学への興味が湧き上がり、その後20年余、名古屋大学医学部を中心に小児アレルギーの診療・研究・教育に携わりました。この3年半は愛知県と臨床現場を離れ、ゆったりと公衆衛生学や環境医学を勉強することができました。
愛知に戻るにあたり、自分の知識と経験を活かし、再びアレルギー分野に貢献するための身の振り方をあれこれ考えました。長年の友人であり共同研究者でもある伊藤浩明先生に相談したところ、アレルギー支援ネットワークの一員として活動することを勧められ、この度の副理事長就任となった次第です。
アレルギー支援ネットワークの方向性ですが、社会的ニーズに感度よく対応してゆくことが最も大切だと思います。一方で、組織の力量を最大限引き出すために、個々のメンバーの専門性や興味が広く集まる分野に力を注ぐことが求められます。現状はとてもうまく前進できているように見受けられます。しかし、新入りではありますがどんどんこうした問題をぶつけてください。
アレルギー支援ネットワークの一員として、診察室からは見えない様々な場面でのアレルギー予防の取り組みに触れたいと思います。2年前、前任地の医学部の学生実習で、「保育所給食における食物アレルギー対応の現状と課題」に取り組んだことがあります。数カ所の公立保育所で職員と懇談する機会を得ましたが、医師の診断書があまり必要とされていない実態に驚きました。食物アレルギーに関する情報を保護者から丁寧に収集し、過剰対応を求められてもまずはそれに基づいて給食対応を完全に実施する、そういう毅然とした対応でした。食物経口負荷試験は食物アレルギー診断に必須ですが、小児科医師不足が深刻で10年経ってもおそらく需要の10分の1も対応できない現実があります。医師の診断書のクオリティーもさほど向上しないのではないかと危惧します。事故防止の対策を現実的に着実に強化してゆくためには、職員と保護者の努力に敬意を払い、それに依拠して進めることが必要だと痛感しました。実習に協力していただいたお礼に無理矢理4回の勉強会を押し付けましたが、回を重ねるにつれ盛況となり、100名に迫る勢いでした。あるべき姿をより鮮明につかんでもらい、現実をそれに近づける方向性をもった努力を微力ながら後押しできたのではないかと感じました。様々な場面でのこのような推進力と共同することで、医師としてのやりがいも膨らむと期待しています。
最後に、専門馬鹿を謙虚に自認しています。皆様から多くを教えていただくことを楽しみにしています。