« 7 第31回日本難治喘息・アレルギー疾患学会の活動への寄付のお願い/メールマガジン87号 | メイン | 9 東海・関西・中国地域 防災対策ネットワーク会議 /メールマガジン87号 »

8 防災のはなし 第5回 「事例:救援物資(アレルギー対応備蓄食)搬送訓練」 防災士 中根 輝彦/メールマガジン87号

メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
前回から、アレルギー支援の取り組み事例について、一つ一つ紹介するシリーズが始まりました。

 前回は、共同備蓄の取り組みとして、災害備蓄食料を「自分が被災したときに食べる=自助」と「どこかで災害があったら支援物資として提供する=共助」のどちらにも活用するという事例について紹介しました。

 今回は救援物資(アレルギー対応備蓄食)搬送訓練についてのお話です。

 私が住んでいる西尾市西野町小学校区自主防災会連絡協議会は、仙台市宮城野区福住町町内会と交流をしています。2011年6月に私が現地支援に出向いたのが縁で、福住町方式(民間ベースの防災協定)を提案されました。まずは実際に行き来をして、負担なく続けられるか試してみるつもりで始めました。以後、こちらからは5回、先方からは1回訪問しあっています。

 そんな交流の中で、「民間ベースの食料備蓄・相互供給支援体制」構築の話が浮上してきました。福住町町内会会長のモットー「まず隗より始めよ」のとおり、自分たちから始め、趣旨に賛同してくれる団体が後から合流すればよいという考えで、実際に訓練の中で救援物資の搬送をしてみることになりました。

 福住町より「11月にこちらで実施する訓練に物資提供の形で参加しませんか」との声がかかり、昨年11月10日の福住町防災訓練と連動した救援物資搬送訓練が実現しました。

 福住町町内会にとっては、協働相手が増えるという位置づけです。すでに福住町方式で山形県尾花沢市鶴子地区連合区会ほかと協定を結んでいて、福住町の訓練へ尾花沢市から毎年応援に駆けつけています。そこへ、私たちが愛知からも駆けつけるという形になります。

 福住町の震災前後の活動については、「3・11以後を生きるヒント: 普段着の市民による「支縁の思考」」(新評論)や「まち むら105号」(財団法人あしたの日本を創る協会)で紹介されています。活動内容は大変すばらしいものですが、長くなってしまいますので、ここでは割愛いたします。関心のある方は、読んでみて下さい。

 さて、提供する救援物資、どんなものをどれくらいの量が必要か、事前の取り決めもニーズもありませんから、正直なところ悩みました。尾花沢市から持ち込まれる物資と重複しないよう、物資の種類にバリエーションをもたせたらどうか、先方の訓練計画案で却下されたものをこちらの提案で持ち込む形で復活させたらどうか、などと考えたりもしました。最終的には災害ボランティアの考え方「シーズ押し付けではなく、ニーズの中から対応できるものを」ということに落ち着きました。

 先方より「アレルギー対応備蓄食を」というニーズを聞き出しましたので、アレルギー支援ネットワークでも扱っているアルファ食品さんのアルファ化米、「安心米」1食パックを80食分送ることにしました。

 共同備蓄の啓発をしているとはいっても、私の地元の自主防連協は、まだまだ充分な備蓄があるわけではありません。新たに購入するための予算も必要です。さらに、ほかのところへ提供してしまうということへの抵抗感もありました。昨年度の訓練で講演をしていただいた返礼であり、こちらの訓練の一環として取り扱うことにするなど、説得に苦労しました。

 「安心米」の調達は、アレルギー支援ネットワークさんに全面的にご支援いただきました。前回のお話の共同備蓄の考え方によれば、私たちの地元で準備していた備蓄品を持ち出すのがめざす姿ですが、今回は備蓄品がないことから、新たに購入して提供することにしました。考えようによっては、備蓄品が底を付き、さらに追加支援をするならどう調達するかという課題に取り組んだという見方もできます。

 今回は、訓練であることから事前に数量や費用など通常取引に近い形で調整しながら準備することができました。アレルギー支援ネットワークさんには感謝申し上げます。前述の緊急支援持ち出しとして、時間勝負になるような場合の対応は、今後の課題として残ります。アレルギー支援ネットワークさんや連携して活動するボランティア団体さんと連携活動の訓練をしてみるのも必要かと思います。

 搬送そのものは余り難しくありません。簡単に言えば、愛知から仙台まで高速道路を通って如何にたどり着くかということだけです。走行経路・距離、所要時間、運転交替、交通費などを記録しておけば、今後の役に立つでしょう。私自身は単独ドライブで愛知−仙台の往復は何度もこなしていますから、感覚的には理解していますが、運転の交代要員を確保のためにも平常時に訓練で走行して感覚をつかんでもらうことも必要です。いざというときに尻込みしてしまうか、がんばって行こうという気になるか、大きな分かれ目です。

 今回は、「救援物資(アレルギー対応備蓄食)搬送訓練」の事例を紹介しました。

 次回は、社会福祉法人昭徳会が運営する授産所高浜安立でつくられているアレルギー対応のお菓子「ぱりまる」について紹介します。


防災士 中根輝彦

日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane

内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。

ご意見ご感想をいただけると嬉しいです。次の原稿を書く励みになります。アレルギー支援ネットワークの事務局まで、お寄せ下さい。
宛先:
info@alle-net.com


About

2014年02月27日 00:04に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「7 第31回日本難治喘息・アレルギー疾患学会の活動への寄付のお願い/メールマガジン87号」です。

次の投稿は「9 東海・関西・中国地域 防災対策ネットワーク会議 /メールマガジン87号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。