この度、認定NPO法人アレルギー支援ネットワークは第一生命保険株式会社主催の第66回保健文化賞を受賞しました。
10月7日の贈呈式に出席し、8日の宮中参観に参加し、天皇皇后陛下に拝謁してきました。大変名誉ある機会を与えていただき、感謝しています。
これも当ネットワークの関係者の皆様、特にスタッフ、理事、アレルギー大学の講師の皆様、アレルギーの会の皆様、東日本大震災での被災地支援活動にご尽力いただいた皆様のお陰であり、深く感謝申し上げます。
この賞は昭和25年に第一生命保険株式会社によって設立されたもので、厚生労働省、朝日新聞厚生文化事業団、NHK厚生文化事業団が後援しています。民間の第一生命保険会社が設立した保健文化賞に宮中参観、天皇皇后陛下の拝謁まであることに、驚き戸惑いました。と同時に権威のある賞であることを痛感しました。
その源は創業者(1902年創業)の矢野恒太社長の高い先見性、構想力、実行力、博愛精神に由来するようです。当時は結核が国民病と呼ばれるほどに猛威を振るい、15歳から35歳の少年、壮年者の前死亡の3分の1は結核によるものでありました。
第一生命保険会社は1935年に独力で結核撲滅のための財団法人「保生会」を設立し、結核患者の長期療養のために、「保生館」という結核療養所を建設するとともに、無料の健康相談所を設けて、早期発見・早期治療を目指しました。
この考えは現在でも公衆衛生活動の中心課題になっています。その活動が香淳皇后に認められ、1939年に「官民協力して結核の予防と治療に当たるように」との令旨を賜り、金50万円が下賜され、厚生省は「財団法人結核予防会」を新設したとのことです。
しかし当時は日中戦争中で、物資難の時代でありました。新設の「財団法人結核予防会」は苦境に立たされ、病院を建てることもできない有様でした。
これを見かねた矢野恒太社長は完成したばかりの「保生会」の全施設を「財団法人結核予防会」に寄付したとのことです。
このような戦前に、保健衛生にまで進出し、社会貢献するという伝統(DNA)があったので、戦後まだ物資難の時代に保健衛生施策の向上のために保健文化賞を設立したようです。
また第一生命保険会社ビルは敗戦直後に連合国に接収され、その総司令部(GHQ)の置かれた場所であります。その柱を見、建物に入れた時には、ここからマッカーサー元帥が指令を出し、新憲法が誕生し、戦後レジームが発祥したかと思うと、感慨深いものがありました。
7日の贈呈式で、NHK厚生文化事業団理事長の浅谷友一郎様は祝辞の中で、当アレルギー支援ネットワークの活動を紹介し、高く評価して下さいました。内容は本応募に推薦してくださった国立生育医療研究センターの五十嵐 隆総長の推薦文に沿ったものでした。
ご尽力いただいた二村先生、坂本先生に厚くお礼申し上げます。
この受賞の最大の功労者は、故栗木成治さんであります。
彼の推進力、構想力、決断力によってアレルギー支援ネットワークはここまで歩むことができました。そこで彼にこの晴れの式を見てほしい、彼に報告したいとの思いから、額縁に入れた彼の写真を持参し、待合室の机、祝賀会のテーブルの上に置きました。
8日は、12時50分に集合なので、青木さん、中西さん、鹿嶌さんと昼食をとった後、第一生命ビル6階の控え室に行きました。13時10分の送迎バスに乗って、出発直前に栗木さんの写真を忘れたのに気付き、出発を待っていただき、控え室に戻り、写真を持参することができました。
皇居へは、東京駅中央口の対面にある坂下門から入り、宮殿東庭と呼ばれる広場で記念写真を撮りました。ここは新年と天皇誕生日に一般参賀ができる庭です。これに面して長和殿があり、そのバルコニーから天皇皇后陛下、皇族方が一般参賀者にお応えになります。
拝謁は長和殿の松風の間で行われました。14時に両陛下がお見えになり、まず厚生労働省の新村健康局長が拝謁の趣旨を述べ、陛下から今後とも保健衛生に精進するようとのお言葉がありました。
私は記念写真撮影のときも、拝謁のときも栗木さんの写真を抱いていました。お言葉が終わった後、陛下は写真に興味を持たれたようで、私の方へ進んで来られ、どなたの写真かとお尋ねになられました。私どもアレルギー支援ネットワークの創始者で、今回の受賞も彼のお陰ですと答えました。胸がドキドキし、まごついたように思いますが、皇后陛下が、陛下のやや右後に控えていた姿が印象的でした。拝謁はそれで終わりました。
皇居参観中に、第一生命の渡邉光一郎社長から、陛下が拝謁者にお言葉を掛けることは極めて稀であり、写真を持参してよかったネと言われました。
この度、拝謁という栄誉を与えてくださった皆様に感謝します。特に栗木さんの写真を準備してくださった、中西さんをはじめスタッフの皆さんに感謝します。
お陰さまで、栗木さんを天皇陛下に紹介することができました。
アレルギー支援ネットワーク
理事長 須藤千春