11月21、22日に奈良で第52回小児アレルギー学会が開催されました。
今回の学会のテーマは、「和を以ってつなげようアレルギー診療の輪:子どもたちに喜々とした生活を」であり、アレルギー疾患を有する子どもたちは、様々な職種で支え、守っていくことが大切というメッセージが込められています。
支援ネットは、今月公開になったばかりの論文リスト「FACE」、インターネットアレルギー大学、「おいしく治す食物アレルギー攻略本」の紹介などでブース出展を行いました。
攻略本については、何人かの先生が発表中に紹介していただけ、攻略本の広まりを感じました。
学会はどの演題も興味深かったのですが、一番興味をもったのは、「食物アレルギーはなぜ増えたか〜その真相に迫る〜」のシンポジウムです。
増加の一途をたどる食物アレルギーの考えうる原因について、経皮感作、衛生仮説、腸内細菌叢、離乳食の開始時期や与え方、エピジェネティクス(DNA配列の変化を伴わず子孫や娘細胞に伝わる遺伝子発現や細胞表現形の変化)と、様々な観点からそれぞれのエキスパートの考えを聞けました。
経皮感作は、最近注目されているものの一つであり、スキンケアが重要であるという事、離乳食においては、「適切な時期に食べないことは、無駄な除去をしているだけでなく、経口免疫寛容が機能する機会を失して食物アレルギー発症リスクを高める可能性がある」との事を聴けました。
日々の栄養指導において、離乳期に卵・乳・小麦などアレルギーの頻度が高い食品について、自己判断で除去を行っている方が多いので、是非、この事を伝えていきたいと思います。
他の演題でも、母の除去食では、母乳に鋭敏に影響し、赤ちゃんが亜鉛と鉄欠乏になり、体重増加不良につながる。との報告もありました。母も子も不要な除去は行うべきでない事も伝えていきたいです。
管理栄養士 仲 佳代