« 2、3月20日(日)に「アレルギーっ子のフェア」を開催致します♪/メールマガジン109号 | メイン | 4、賛助会員からのメッセージ ★ニチモウバイオティックス株式会社 抗アレルギー素材『イムバランス』の情報サイトを公開しました!★/メールマガジン109号 »

3、法律で、アレルギー表示が変わったことをご存知でしたか?(その2) 食の安全サポートオフィス 藤森正宏/メールマガジン109号

今回は、加工食品のアレルギー表示について、具体的な表示例でもう少し詳しく見てみたいと思います。

加工食品のアレルギー表示の対象は、これまでと同じ27品目
 全ての食べ物はアレルギーを引き起こす可能性があります。この原因物質は時代とともに変わる可能性があるので、概ね3年ごとに実施している全国実態調査に基づき、特に症例の多い食品・重篤度の高い食品などを指定し、表示の対象としています。平成23年度〜平成24年度の実態調査において、現在の特定原材料等(27品目)で全症例の95.5%、そのうちアナフラキシーを起こした全症例は95.1%を占めました。
<表1>


今後、現時点において特定原材料等でない食品であっても、全国調査により症例数や重篤な症状を示す人が継続して相当数みられる場合、対象品目の見直しが検討されます。

新しいアレルギー表示のルール
調理パンを想定し、新・旧の表示例を(1)〜(6)に示しました。
<図1>

これまで、「個別表示」とするか「一括表示」とするかは、事業者の判断に委ねられてきましたが、新表示では、原則「個別表示」となりました。(4)の例のように、どの原材料や添加物の中にアレルゲンが入っているのかが分かる様になりました。なお、原材料等は重量の多い順に記載されていますが、アレルギー表示の順位とアレルゲンの含量や抗原性の強さとは対応していませんのでご注意下さい。「個別表示」では、旧表示と同様、くりかえし出てくるアレルゲンは省略((5)の例)が可能です。この理由は、表示可能面積の節減と表示量が多いとかえって分かり難いのではないかと言うことですが、省略規定を適用すると、個別表示の優位性が反映されないと言う課題があります。
「一括表示」については、これまで普及していること、また、全アレルゲンがひと目でわかるようにまとめられているので見落とし防止効果があることから、新表示((6)の例)でも認められたものの例外的な扱いとなっています。すなわち、(1)表示面積に限りが有る場合 (2)添加物にアレルゲンが含まれており、原材料には表示されない(キャリーオーバーに該当)がアレルゲン表示が必要な場合 (3)未包装の詰め合わせ食品の様に、食品同士が接触する可能性がある場合 (4)弁当の表示の様に、裏面に表示があるため表示の確認が困難な食品について、表面に表示するため(ラベルを小さくする)に表示量を減らす場合、以上の4ケースが法令で定められました。しかし、菓子やケーキ、調味料などのように、食べる際、特定のアレルゲンだけを取り除いて摂取することができない食品においては、上記4ケースに該当しませんが、消費者にとって分りやすい一括表示はとても有用で、こうしたものにも適用できるよう法令上の運用が望まれるところです。
新表示では、特定加工食品とその拡大表記が全廃(詳細は、その1を参照)されたので、わかり易さに一歩近づいたと言えます。

最後に

必要なことが確実に伝わる分かりやすい表示は、難しいのが現状です。特に食物アレルギーでは、少量であれば食べられる人にとって、「新・個別表示」でも対応が困難な人とそうでない人がいるでしょうし、「新・一括表示」が分かり易くて良いと言う方もいるはずです。メーカーによっては、一括表示枠の近接した箇所に、法令で指定された以外の情報を自主的に掲載している場合も少なくありません。表示欄は、ぜひ注意深く見て頂きたいものです。例えば図2のように、義務表示ではない品目については、商品によって違いがあるからなのです。

加工食品に含まれるアレルゲンについて、特に詳細な情報が必要な折は、まずメーカーに問い合わせることをお勧めします。同じ商品であっても、品質改良がなされると原材料の一部が変更となったり、製造工程などに変更がある場合があるからです。自身の経験で判断するのは避けるべきです。

さて、新表示の商品は、いつ頃店頭に並ぶのでしょうか?今回の法令は、事業者にとって表示の仕組みが複雑化し、特に、アレルギー表示の仕方について、消費者庁と事業者側とのコミュミケーション不足などから、食品包材の改版はあまり進んでいない模様です。また、前回紹介した一般消費者が閲覧できる「製造所固有記号のデータベース」は28年度にスタートすることから、そうした状況を考慮している事業者も多いのではないでしょうか。
最後にクイズです。先日、大手製パンメーカーの商品の一部に、新基準で表示された菓子パンをようやく見つけました。図3は、このパンの表示です。どこが新基準の表記でしょうか?ヒントは、前回紹介した「“ぱっと見てわかる”新・旧表示箇所」にあります。



次回は、多くの商品が新基準の表示に切り替ったころ、皆さんが感じた新アレルギー表示の評価や課題などについて考えて見たいと思います。

<参考資料>
1.消費者庁:食品表示部会第5回加工食品の表示に関する調査会資料(平成26年4月17日)
2.消費者庁:食品表示部会第6回加工食品の表示に関する調査会資料(平成26年6月5日)
3.食品表示法(平成25年6月28日法律第70号)
4.食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)
5.食品表示基準について(平成27年3月30日消食表第139号)
6.食品表示基準Q&Aについて:別添アレルゲンを含む食品に関する表示(平成27年3月30日消食表第140号)

(食の安全サポートオフィス 藤森正宏)