« 14、 Gooddo(グッドゥ)でアレルギー支援ネットワークを応援して下さい!!/メールマガジン108号 | メイン | 2、3月20日(日)に「アレルギーっ子のフェア」を開催致します♪/メールマガジン109号 »

1、新年のご挨拶 アレルギー支援ネットワーク 理事長 坂本龍雄/メールマガジン109号

新年明けましておめでとうございます。旧年中は、格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
 「アレルギー大学」は、全国で唯一のアレルギー疾患、とりわけ食物アレルギーの専門知識を体系的に学ぶことができる市民講座です。今年で第11回を数えますが、アレルギー支援ネットワークはこれからも「アレルギー大学」を軸に事業を展開していきます。昨年に改定した「インターネット・アレルギー大学」ともども、ご活用のほどよろしくお願いいたします。
 さて、この機会に食物アレルギー対応に関して、専門医の立場から問題提起をさせていただきます。私は、週1回ですが、小児アレルギー診療に携わっています。食物経口負荷試験はルーチンですが、相当数の経験があるとはいえ、一抹の不安を拭い去ることができません。適切なアドレナリン投与をしくじると死に至る劇症型のアナフィラキシーが、重症アナフィラキシーのおよそ1%存在するといわれているからです。もちろんインフォームド・コンセントを取得するにあたり、この不安を患者と共有するよう努力しています。しかし、コンセントは得られても、インフォームド・コンセント(説明内容を正しく理解したうえでの患者の意思決定)に成功していない実態が、様々な場面で明らかにされています。医療者側の説明不足や恣意的な誘導は論外ですが、「食物経口負荷試験をしなければ、○○△△の不利益が予想されます」と、食物経口負荷試験をしないことの不利益が確実であるかのように説明してしまっているのではないでしょうか。これだと医療者側が患者の意思決定を事実上代行することになってしまいます。不幸にも深刻な事故が起きてしまうと、同意するまでの葛藤が患者側に不足していますから、説明内容の記憶が薄れ、「検査にともなうリスクの説明がなかった」と言われかねません。これではインフォームド・コンセントの役割が果たせなくなります。
 食物アレルギー診療において食物経口負荷試験が定着しつつあります。しかし、まだまだ圧倒的にその機会が不足しています。仮に、想定された重大な事故が起きても、食物経口負荷試験が手控えられず、着々と実施されるよう、インフォームド・コンセントについての医療者側と患者側双方の理解を深めてゆく必要があります。また、食物アレルギーに対する啓発や情報提供を強化してゆくことも大切です。食物アレルギーに対する経口免疫療法への期待が広がっています。しかし、「食物アレルギー診療ガイドライン2012」には、現段階では「研究的に行う段階の治療」と明記されており、その実施のためには、より確固たるインフォームド・コンセントが求められると思います。
 今後も、引き続き意見や問題提起をさせていただきます。皆様のご健康とご多幸をお祈り申しあげます。

認定NPO法人 アレルギー支援ネットワーク 理事長
中京大学スポーツ科学部
坂本龍雄


About

2015年12月30日 14:10に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「14、 Gooddo(グッドゥ)でアレルギー支援ネットワークを応援して下さい!!/メールマガジン108号」です。

次の投稿は「2、3月20日(日)に「アレルギーっ子のフェア」を開催致します♪/メールマガジン109号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。