みなさん、こんにちは! 三重県桑名市で開業している近藤小児科医院の近藤です。
私の小児アレルギーとの出会いは、卒業したての研修医時代に、初めての主治医を担当したのが気管支喘息のお子さんでした。30年以上前の当時は、有効な治療法に乏しく、毎日が発作との闘いでした。しかしそのおかげで、アレルギー疾患の治療はまさに「病気を診る」のではなく、「病気を持った患者さんとその家族を診る」というトータルケアの大切さを患者さんとご家族から勉強させていただきました。研修を終えて、大学にもどりアレルギーの研究に没頭した時期に、名古屋大学で宇理須厚夫先生の指導を受けることができ、現在のアレルギー診療や研究の礎となっております。
アレルギー支援ネットワークとも古くからお付き合いさせていただいており、「食物アレルギーひやりはっと事例集」は初版より編集委員を務めさせていただいております。編集を進める中で、アレルギー支援ネットワークの患者さんやそのご家族からたいへん多くの情報をいただきことができました。この場を借りてお礼を言わせていただきます。
さて、当院はアレルギー専門クリニックではありません。しかしながら、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーといった小児のアレルギー疾患の治療については特別な検査や入院を必要とする検査・治療以外は、大学病院、専門クリニックの先生方に負けない診療を行っていると自負しています。そのひとつに、当院にはアレルギーデュケーターの資格のある看護師がほぼ常勤に近い勤務をしています。アトピー性皮膚炎のスキンケア・外用療法、気管支喘息治療薬の吸入療法を中心に、医師の診察や説明で不十分な点をしっかり時間をかけて丁寧な説明や指導に心がけています。アレルギー外来は週2回、初診の患者さんだけに限り、一人に30分から1時間かけて行っています。(完全予約制)
経口食物負荷試験は、週3回の午前中に行っています。重篤な症状をおこすリスクが低いと判断されるケースを対象に施行しております。リスクが高いと判断されたケースは藤田保健衛生大学、国立病院機構三重病院、あいち小児保健医療総合センターなど関連機関に紹介させていただきます。経口食物負荷試験を行った患者さんには、基本的に試験後に栄養指導を受けたいただく方針です。この栄養指導にあたる栄養士さんはアレルギー支援ネットワークからたいへん優秀な人材を派遣していただいており、指導前後にディスカッションすることより、当科での食物アレルギー診療レベルの向上に努めています。
地域での活動としては、保育園、幼稚園、学校に出向き、講演会やエピペン指導の勉強会を行っています。昨年は20回以上も依頼があり、桑名市消防署、桑名市防災ネットワーク、三重県薬剤師会からの依頼もありました。こうした活動を通して、食物アレルギーの知識や理解の向上に少しでも貢献することがアレルギー専門医の使命と考えています。
また、院内行事として、診療のない土曜日の午後や日曜日を利用して、患者さんのご家族を対象に実際に石鹸や保湿剤を使用してのスキンケア教室を、季節に応じて年2回開催しています。
これまでの医師中心の治療ではなく、患者さんに寄り添う気持ちを忘れず、少しでも患者さんとその家族の生活の質(QOL)が向上するアレルギー疾患の治療を、近藤小児科医院スタッフ一同がチームを組んでこれからも進めていきます。
そして、学会や研究会で得られる最新の知識を学ぶことを怠ることなく、患者さんからも多くのことを学ばせていただき、日々の診療に役立ていきたいと考えています。
最後になりますが、地域でのアレルギー支援ネットワークの方との交流がより深まればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【近藤小児科医院 HP】
http://www.kondo-ped.jp