« 7、書籍 エッセイ集『食べるということ』遂に販売開始♪/メールマガジン125号 | メイン | 9、麹菌発酵大豆培養物の臨床試験にご協力いただける方を募集しています!/メールマガジン125号 »

8、第43回「防災講座-22:津波対策を知る」防災士 中根輝彦/メールマガジン125号

メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
 前回に続き、津波避難について考えます。今回は行政への要望打ち上げについてです。

 前回までに、自力で避難できる人向けの訓練方法、福祉観点から避難行動支援が必要な人の支援方法について考えてきました。自助・共助は大切ですが、やはり限界があります。公助としての対策を行政機関に依頼する場合、どんなことが考えられるでしょうか?

 津波避難対策としての公助といえば、なんといっても避難場所の確保でしょう。気を付けたいのは、行政が指定した避難場所や避難所は、絶対に安全な場所とは限らないということ。役所の支配が及ぶ公的な場所を指定しているに過ぎないのです。「こんなところで本当に大丈夫か?」と問うても「ほかに場所がない」と言い訳されます。行政の立場で考えれば、私有地を好き勝手に指定できるはずもなく、背に腹替えられずといったところなのでしょう。私有地やビルなどの私有資産を指定するには、各種契約手続きや費用負担も必要になり、対策が追いつかないのだと思います。自分たちの地域で指定されている避難場所は、果たして本当に安全なのでしょうか?避難訓練を通じて自分たちで検証し、必要なら改善や新たな施策を要望していく態度を持ちましょう。決して、行政の施策を鵜呑みにしてはいけません。また、施策の有効性を訓練等で評価もせず、わがままを押し付けるだけのクレーマーになってもいけません。

 津波避難対策、次に依頼したいのは、避難行動の支援でしょう。避難しやすい街路づくり、避難誘導の道路標識や看板などの各種サイネージ及び夜間行動用の照明、避難のための情報発信、避難行動支援用としての移動用車両器具(自転車、車いす、リヤカー、担架、ストレッチャー…)や、耐震補強でなく避難行動容易化のための家屋改修などの資金援助、大規模避難訓練(地域一斉訓練)の機会提供…、まだまだありそうです。避難行動をより具体的にイメージし、訓練し、検討をする中で、いろいろな要望やアイデアが出てくるでしょう。

 さらに長期的で大規模な施策としては、津波に強い街づくり。宮古の万里の長城のような巨大堤防。東北各地で進行する復興対策のような土地全体をかさ上げする盛土。仙台東部道路のような堤防の役割をする盛土道路。将来の人口減少や安全で便利なコンパクトシティの建設を想定した都市計画、危険な地域の建築制限や土地利用制限。長期にわたって特定地域へ移住することを促す特定地域での新築ローン金利優遇策。安全装置を装備する自動車の保険料が割安となるのと同様に、耐震耐津波対策を施した住宅の固定資産税減税。津波対策に協力する企業の法人税減税。ふるさと納税の特定地域・特定用途指定寄付の優遇策。他の地域との災害協定締結による遠隔地への集団移転(移住)態勢整備。実現可能性はともかく、あれこれ妄想レベルまでアイデアが出てきます。議員さんたちに頑張っていただきたいところですね。丸投げではなく住民要望としてきちんと打ち上げていくことも忘れずに。

 次回は、官民連携を考えます。

防災士 中根輝彦
日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane
facebook:teruhiko.nakane

内容は筆者個人の考え方に基づくものです。
アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。

ご意見ご感想をいただけると嬉しいです。次の原稿を書く励みになります。
アレルギー支援ネットワークの事務局まで、お寄せ下さい。
宛先:
info@alle-net.com

About

2017年04月27日 17:05に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「7、書籍 エッセイ集『食べるということ』遂に販売開始♪/メールマガジン125号」です。

次の投稿は「9、麹菌発酵大豆培養物の臨床試験にご協力いただける方を募集しています!/メールマガジン125号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。