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4、リレートーク「栄養士からのメッセージ」 第3回 管理栄養士・小児アレルギーエデュケーター 寺倉里架/メールマガジン126号

こんにちは、 管理栄養士の寺倉里架です。
私が食物アレルギーと関わるきっかけになったのは、20年前、娘の湿疹の原因が食物であると診断されたことでした。 当時はまだ、食物アレルギーという言葉すら認知されていない時代で、管理栄養士も“食物は身体にとって必要”ということを人に伝えることが第一義。 そんな時に、タンパク質源である卵、牛乳、大豆を除去しなさいと医師から言われたことは本当に驚きで、 同時に大きなショックも受けました。そして、それまで以上に 「食生活」に興味を持つようになり、ひいては人生についても学ぶ機会となりました 。

 現在は食物アレルギーについての研究も進み、栄養指導では必要最小限の除去が基本となっています。その中で私自身の経験をいかし患者家族により添った親身な栄養指導するよう心がけています。
 そうした中で思い続けてきたことがあります。
まずは、毎日の食事作りに頑張っているお母さんに、ご主人や家族の方は感謝の気持ちと拍手を送ってあげてほしいということ。お子さんが食物アレルギーと診断された際お母さんは、お子さんが食べられないことや将来はどうなるのかと不安を感じたことでしょう。そして食物除去や微量摂取など、日々の食生活でたくさんの苦労と心痛を抱えながら頑張っていらっしゃいます。本当に大変なことだと思います。

 同時に当事者として頑張っている患児にも拍手を送ってあげてください。ギュッと抱きしめて、“毎日、よく頑張ってるね”と褒めてあげてほしい。私自身、指導の際に感じるのは、誰よりも患児自身が頑張っているということ。好き嫌いを問わず、毎日欠かさず食べている患児の様子に胸を打たれ、「スゴイね! 頑張ってるね」と褒めずにはいられません。頑張っている患児とお母さんを、まずはご家族や周囲の方が褒めたり、感謝の気持ちを伝えてあげることが、何よりの支えと励みになるのではないか、と私は思います。

 そしてもう一つ、社会の中で日々、アレルギー対応に尽力してくださっている方々にも、「感謝の気持ち」を忘れずにいてほしいと思います。 近年、社会においても食物アレルギー対応の日常化への取り組み進められていますが、まだまだ当たり前のことになっていないのが現状です。そんな中、患児の笑顔のために給食を作ったり、レストランでアレルギー対応に取り組んでくださっている方がいます。そうした方たちにも、ぜひ感謝の気持ちを伝えて下さい。それが社会全体のアレルギー対応への取り組みを進めていく一助になるのではないかと思います。

 娘の食物アレルギーがきっかけで、私や家族が学んだこと。それは、人を認め、感謝する気持ちを忘れないということでした。 例えば、給食担当の方や職員室でお弁当を温めてくれる用務員さんに感謝のお手紙を書いたり、外食先でも箸袋の裏側に「ありがとう」の言葉を書き添えたり。ささやかなことですが、折に触れ、感謝の気持ちを伝えるよう心がけていました。

 食物アレルギーは食生活に多大な影響を及ぼし、日常生活にも支障をきたすものです。それでも、そこから人や社会の違った側面が見え、学ぶこともたくさんあると思います。機会があれば、皆さんの体験談なども、ぜひお聞かせください。