はじめまして。私は、アレルギー支援ネットワークで地域のクリニックへの派遣栄養士をさせていただいています。
アレルギー診療も進歩し、対応食品も身近で購入することが可能になってきました。進歩し便利になってもアレルギーを抱える家族にとり、生活の大変さ・心配や不安は変わらないように感じます。
症状誘発の心配・便利な現代になったからこそ余計に感じる不便さ・食べられるようになるのを夢見ていたけど、解除までの道のりの大変さ等、抱える内容は様々です。私自身が、子どものアレルギーで心配や不安・迷う事ばかりだった経験から、お母さんの気持ちを支えていきたいと思っています。
私事ですが、23年前に息子がアレルギーと診断を受け『母子共に、卵・乳を除去してください。』と先生からあっさりと言われました。(その後一時期は、小麦も除去)。
当時のアレルギー診療は、検査陽性は除去・授乳中は母も同様に除去を行う・卵除去の時は鶏肉も除去という時代でした。子育ても料理も初心者(栄養士資格は後に取得)で、何が食べられるの?と戸惑うばかりでした。
現実を受け止めることから始まり、スキンケア、毎日の食事作り、見通しのたたない不安でいっぱいでした。
何かないかな?とアンテナを張り、保育園の地域開放・アレルギー料理教室・子育てサークルなどいろいろなところに出かけました。
3歳を迎えた頃に一人の保育園長先生との出会いがあって、アレルギー食を提供していただける保育園への入園が決まりました。
その保育園は、入り口で靴をぬぐと目の前が給食室でした。窓が大きく、中で作っている様子が見え、給食室からも誰が出入りしているかわかります。忙しい給食作りの合間でも、子どもたちに食材を見せてくれたり、いい匂いが漂いはじめる時間になると味見をさせてくれる素敵な空間でした。
送迎時には私にも、『お母さん、一緒にがんばっていこう!』と作り方や子どもの食べている様子をいつも話してくださいました。
園全体で、食べること・子どもの気持ち・生活全般にわたって配慮がありました。息子は食べることが大好きだったので心配していた給食でしたが、おかわりもいっぱいさせてもらい『大食い選手権にでるんだよね!』と笑いのある楽しい時間となりました。
1年という短い期間でしたが、保育園で親子共に支えて頂いたことで、除去する現実は変わらなくても日々の生活が明るくなりました。
必要以上の心配や不安を抱えながらの子育ては大変です。アレルギー大学・親の会・クリニックでの栄養相談などアレルギーのことを学んだり、聞いてみたり、仲間のいる場所があります。
何かないかな?と行動してみてください。どこかで、素敵な出会いがあるかもしれませんよ!
お母さん方と話をしていると、日々大変な中でも本当に豊かな食生活をされていると感じる瞬間が多くあります。
今『ある』中で、楽しい・美味しい食事の時間となるように、共に考えていきましょう。
上田 由美
ピザ&パンプキンプリン(卵・乳・小麦除去)