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2、アレルギー大学講師リレートーク 第2回杉浦至郎(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科 医長)/メールマガジン137号

 皆様はじめまして。今年度からアレルギー大学の講師を担当することになりました杉浦至郎(すぎうら しろう)です。現在のあいち小児保健医療総合センターアレルギー科で勤務を始めて6年目になります。食物アレルギー中心の診療は我々の日常と切っても切り離せない「食」の問題を扱っていますので、自分のこととしても考えざるを得ないようなことによく遭遇します。

 最近は食物アレルギーを予防するにも、治療するにも「食べる」ことが重要であることがわかってきました。どんな人が、いつ、何を、どれくらい、どのように食べるべきか、ということが問題ですが、特に重症者の治療に関しては専門的な知識・経験が求められる部分もあり、今後も検討が続いていくことになると思います。当院はできるだけ食べることを考える診療が中心となっていますので、「なんとかして食べたい」という気持ちの患者さん(親御さん)が多いのですが、それでも「(本当は)食べたくない」という意見が非常に多いことを実感していまます。
 一般的に「食べたくない」の代表は「好き嫌い」ですが、宗教や、信条など様々な理由により特定の食品を食べない人もいます。また、特定の考えがなくても日常生活の刷り込みで食べることなんて考えることができないような生物も存在します。ゲテモノという言葉も存在しますが、どの生物がゲテモノであるかはその人が育ってきた文化に大きく影響されていると思います。

 実は、私は納豆が嫌いです(アレルギーではなく好き嫌いです)。私の母親も納豆は嫌いで、食卓にのぼることがありませんでした。早期摂取を行なわなかったためか耐性獲得の機会に恵まれず、初回摂取時にその匂いに反応し、以降ほぼ完全除去を行っています。誤食は何度かありますが幸いなことに重篤な症状には至っていません。しばらく摂取を継続すれば、好きになるのかもしれませんが、それほど日常生活に困らないため完全除去を継続しています(思い返してみれば、私が小・中学生の頃は学校給食に納豆が提供されることがあり、時々困っておりました)。
 もし、納豆が様々な加工品に含有されていたら食べる練習をするだろうか、と考えると「多分するだろう」と思います(でも納豆そのものではなくて加工品がいいな、なんて思ったりもします)。しかし例えば、納豆摂取により口の中が痒くなったり、じんましん・腹痛・咳等の症状が出たりするかもしれない状態であれば納豆を食べるだろうか、と考えると非常に悩みます。「納豆なんて世界からなくなればいいのに」、とか考えながら、悩んでいるのではないかと思います。

 我々は一般的に、食物アレルギーの治療・指導としてアレルギー食品そのものの摂取を患者さんにおすすめしています。摂取可能な抗原量を正確に把握しながら日常摂取量まで増量すること、及び身体的なアレルギーだけでなく心理的なアレルギーも改善し、患者さんが以前アレルギーだった食品を普通の食品として認識してくれることが重要と考えているからです。しかし自分のことを考えると、「食べたくない」気持ちも当然と思います。患者さんに合わせた目標設定(完全除去の継続も選択の1つと思います)と、なるべく負担の少ない方法を考えるようにはしていますが、今後も改善が必要だと思っています。

 よく言われることですが、できるだけ早期からアレルギー食品の摂取を始めることと、除去食を行なっている間、アレルギー食品を少なくとも「悪物」にせず、できれば「憧れの食品」のポジションに置いてもらうようにすることで、より多くの患者さんの摂取がスムーズに進むのではないかと思っています。

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2018年04月27日 17:22に投稿されたエントリーのページです。

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