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3、アレルギー大学講師リレートーク 第5回  藤森正宏(食の安全サポートオフィス 消費生活アドバイザー) 梶野和代(消費生活アドバイザー)/メールマガジン140号

昨年まで、上級講座で「食品表示」を担当してまいりました藤森正宏です。今年度から、基礎講座で「加工食品の表示の仕組みとアレルギー表示」というタイトルでお話しをいたします。
さて、食品表示に関わる新たな法律、「食品表示法」が施行され3年が過ぎました。アレルギー表示についてもいくつかの重要な変更点がありますがご存知ですか?
本日は、アレルゲンの新旧表示の違いと表示の活用についてお話しします。講座では、実際の食品パッケージを事例に一緒に考えながら進めますので、表示の読み方のスキルアップをお考えの方にもお勧めです。

1. 食品表示法の誕生と主な変更点(図表1)
食品表示は、目的の違うたくさんの法律がかかわり、なかでも添加物やアレルギーなど食品安全に関わる表示は食品衛生法。原材料や原産地などはJAS法。栄養成分やエネルギーなどは健康増進法の規定でそれぞれが表示され、わかり難いものとなっていました。
2015年4月、これら3法の食品表示に関係した部分だけを一元化した「食品表示法(主管は消費者庁)」がスタートしました。新表示への移行は5年間の猶予(2020年3月末まで製造・加工又は輸入分まで)があるため、賞味期間を考慮すると2022年頃まで旧表示の商品が店頭に並ぶ可能性があります。新表示では、アレルゲンの表示のし方が一部変更となりましたので特に注意が必要です。

2. アレルゲンの新旧表示の比較(図表2)
 アレルゲンは、原材料名欄に書かれていますが、この表示には2通りあります。一つは、「個別表示」といって、アレルゲンの原材料の直後に(○○を含む)、添加物は(△△由来)と表示。もう一つは、原材料の最後にアレルゲンをまとめて表示する「一括表示」と言う方法です。以下、新旧を比較してみましょう。
●変更点1 「特定加工食品」のルールの全廃
旧表示:アレルゲンが使われていることが容易にわかる食品(法令で「特定加工食品」と呼ばれ、対象品はリスト化されている)は、アレルゲンの表示は不要でした(例、マヨネーズでは(卵を含む)、パンでは(小麦を含む)の表示は不要)。
新表示:「特定加工食品」のルールを全廃しました。このため対象品はアレルゲンの表示が必要となり、わかり易くなりました。すなわち、マヨネーズでは、マヨネーズ(卵を含む)、パンでは、パン(小麦を含む)と表示されます。
●変更点2 卵黄と卵白の表示のし方が変わりました。
旧表示:卵黄と卵白には、「卵」の文字があるので(卵を含む)は不要でした。
新表示:卵黄は、卵黄(卵を含む)、卵白は、卵白(卵を含む)と表示されます。これは、卵黄と卵白は完全に分離できないため、事故防止の観点から改善されたものです。
●変更点3 「一括表示」の表示のし方が変わりました。
旧表示:原材料の最後にアレルゲンをまとめて「(原材料の一部に○○を含む)」としました。この〇〇には、原材料にアレルゲンと分かるもの(特定加工食品を含む)がある場合、くり返しの表記となるので省略されていることが多く、読み落としのリスクがありました。
新表示:「(一部に○○を含む)」と表現を変え、もれなく全てのアレルゲンが〇〇に表示されます。このため、旧表示の食品をみて、新表示と見誤ると誤食につながるので気をつけましょう。

3.アレルギー表示の活用 (図表3)
 たとえアレルゲンの表示が書いてあっても、摂取が可能な食品はあります。実はこの法律、アレルギーの症状が軽度〜重度の方にも対応した表示のし方を定めたものであるからです。食べられる範囲(食品の種類や量)には個人差があるので、自己判断をせず、必ず専門医の指示に従います。
講座では、一般に除去が不要とされる食品、紛らわしい原材料名と見落としがちなアレルゲン、食品表示を読み取る際の注意点などについて詳しく解説をいたします。

4.アレルゲンの問い合わせ方 (図表4)
 「アレルゲンの読み方に自信がありません。どうしたら良いでしょうか?」
わからなかったらメーカーのお客さま相談部門に問い合わせます。これは法律で守られた消費者の権利ですので、気軽に相談しましょう。
ときどき「アレルギーの子どもに与えても絶対に大丈夫ですか?」と質問される方がいます。気持ちは痛いほどわかりますが、何ごとも“絶対(100%)”はありません。アレルギーの症状は個人差があり、摂取量や体調によっても変化します。食品の選択は、最終的には消費者自信で判断しなければなりません。そのため、表示について正しい知識を身につけるとともに、食物アレルギーに熟知した専門の医師の指示や管理栄養士などの指導・アドバイスを進んで受けることが大切です。

図表1〜4はこちらから

藤森正宏


こんにちは。
6月10日のアレルギー大学で「加工食品の表示の仕組みとアレルゲン表示」の講
師を担当しました梶野です。
講座の中でも説明させて頂きましたが、アレルギー表示は2015年4月に施行さ
れた食品表示基準(食品表示法)によって大きく変わりました。

食品表示基準は2020年3月末製造まで猶予期間がありますので、昨年まではあ
まり食品表示基準に則り表示された製品を見かけませんでしたが、
猶予期間も残り2年を切り、2017年9月に追加・改正された原料原産地表示と
一緒に変更しようと考えていたメーカーなどもどんどん表示を変更しています。

新表示は、旧表示よりも分かりやすいですが、旧表示のものを新表示と判断すると
誤食につながります。
新表示か?旧表示か?をきっちり見分けて大丈夫な製品を購入してくださいね。

梶野和代

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2018年07月31日 11:14に投稿されたエントリーのページです。

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