☆☆☆愛知県教育委員会
「学校給食における食物アレルギー対応の手引き」解説その4☆☆☆
伊藤浩明(いとうこうめい)
(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
アレルギーの学校生活管理表が整備されても、実際に給食対応がなされなければ手続きの意味がありません。この手引きでは、給食対応の目標として、鶏卵と牛乳の完全除去までは、一部弁当持参を必要としない除去食又は代替食対応をすることを掲げています。また、重いアレルギーを起こす危険のあるソバとピーナッツについては、「十分配慮する」という表現で、事実上給食の材料に使用しないことを求めています。
給食での対応方法は、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に準拠して、次の4つのレベルに区分しています。
レベル1. 詳細な献立表対応
給食で使われる食品の原材料表示を、アレルギー食品表示制度に準じたレベルで保護者に情報提供するものです。これは、それ以上のレベルで対応する時にも常に求められるものです。
レベル2. 弁当対応(完全弁当対応・一部弁当対応)
完全弁当対応は、給食を全く食べないものです。「給食対応」したことになりませんが、持参した弁当の管理や、クラスの子どもたちの理解、給食との接触事故の予防、緊急時対策など、学校として配慮が必要な事柄はたくさんあります。
一部弁当対応は、アレルゲンを含む献立を食べずに、それに替わる献立を弁当で持参するものです。除去食・代替食対応をしている中で、どうしても対応できない献立の時に弁当持参することも含まれます。
レベル3. 除去食
調理の過程でアレルゲンとなる食材を入れずに料理を完成させて提供するものです。牛乳や果物などの単品を出さないようにすることも含まれます。料理の見た目や栄養的に不足を生じる可能性があります。
レベル4. 代替食
調理の過程でアレルゲンとなる食材の代わりに、他の食材や調理方法を用いて完全な献立を提供するものです。
一部弁当持参の必要がない完全な代替食が理想であることは言うまでもありません。しかし、平成20年度に当科受診している小学生を調査したところ、献立表対応が40%以上、除去食が約25%、代替食は10%以下という結果でした。弁当持参をみると、全く必要ない子どもは25%に留まり、月に10日以上持参が40%という現状です。
当科には厳密な除去が必要な子や、多くの食品の除去が必要な子が比較的多いため、こういう低い数字が出るのだと思われます。しかしそれは、本当に対応を必要としている子どもの立場から見ると、現在の愛知県の状況はまだまだ理想とは程遠いことを示している、とも言えるでしょう。
次回は、この解説の最終回です。手引きには、除去食・代替食を進めるための献立作成や調理方法の工夫について、具体的な提案が書かれています。