« 2 「食物アレルギーの発症とその抑制」 連載第3回/メールマガジン43号 | メイン | 4 おいしいレシピ アレルギー用ミルクMA-1を使った「黒糖入り寒天」 青木好子/メールマガジン43号 »

3 新連載「アレルギー情報見聞録」第1回「ぜんそくと運動」/メールマガジン43号

 二村 昌樹(ふたむら まさき)
(独立行政法人国立成育医療研究センター・アレルギー科)

今回からアレルギーに関するさまざまな情報を連載させていただきます。
内容は日常生活に密着したものから、最新の医学的な話まで私が「見聞」したことをアレルギーに結びつけてお伝えします。

現在、FIFAワールドカップが南アフリカで開催されていますが、普段サッカーにそれほど興味のない私も夜遅くまでテレビを見て寝不足の日々が続いています。
オリンピックなどのスポーツの世界大会には皆さんも関心があるのではないでしょうか。
子供たちにとってスポーツは多かれ少なかれ日常生活の一部になっていると思います。子供のころにスポーツをすることは体力をつけるという以外にも様々な良い効果があるとされています。これはアレルギーを持っている子供でも同じです。

特にアレルギーについて重視されているのは、ぜんそくと運動の関係です。
スポーツ選手にぜんそくの人が多いというのはご存知でしょうか。サッカーやプロ野球などみなさんがご存じの有名選手の中にもぜんそくの人がいます。もともと子供では5%くらい、大人でも3%くらいの人がぜんそくを持っているといわれていますが、特にオリンピックに出場した水泳選手の中にぜんそくの人が多いという研究もあります。
「えっ!?水泳ってぜんそくにいいんじゃないの?」っと思った方もいるのではないでしょうか。
たしかに元々、ぜんそくの子供が水泳を頑張ってオリンピックに出場した結果とも考えられますが、水泳をしていたからぜんそくになったという可能性もあります。

昔から言われている「水泳はぜんそくにいい」というのは水泳をしていればぜんそくが治るという意味ではありません。
ご存じのように少しの運動がきっかけになって発作になってしまう人もいます。しかし運動を行って体を鍛えることは、運動療法といわれぜんそく治療の一つでもあります。
ぜんそくの治療のために運動したいが、他の運動では発作が起こってしまうというときに水泳がよいとされてきました。水泳はいろんな理由からぜんそく発作が起こりにくスポーツとして注目されていましたが、最近ではプールの塩素が逆にぜんそくを悪化させる原因になるのではないかとも考えられています。現状ではぜんそくの人が水泳をしたほうがいいのかしないほうがいいのかについては、まだ結論が出ていないところです。
少なくとも発作が出ない程度に運動をつづけることは、ぜんそくにとって良いことなので、ぜんそくだからという理由で運動を控えるのではなく、積極的にスポーツをしたり外で遊んだりするほうがいいと思います。
もし、軽い運動でも発作がおこるようなら医療機関を受診してぜんそくの薬を調整してもらってください。

About

2010年06月28日 19:30に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「2 「食物アレルギーの発症とその抑制」 連載第3回/メールマガジン43号」です。

次の投稿は「4 おいしいレシピ アレルギー用ミルクMA-1を使った「黒糖入り寒天」 青木好子/メールマガジン43号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。