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1 「アレルギー情報見聞録」第6回 二村昌樹先生/メールマガジン50号

「久米島の食物アレルギー対応事業」
独立行政法人国立成育医療研究センター アレルギー科
                          二村昌樹
食物アレルギーの方やそのご家族は毎日の食事にとても気を遣っていることと思います。スーパーで普通に売られている食品を買う時には裏の成分表示を見て購入するのが当たり前ですし、重症な場合には外食するときはこのお店のこのメニューだけ、旅行なんて論外という方もいるでしょう。
今回、そんな食物アレルギーの子どもたちを対象にした久米島の取り組みを現地視察してきましたので報告させていただきます。

久米島では現在、観光協会が主体となって食物アレルギー対応事業を行っています。食物アレルギーがある子どもと安心して旅行がしたいという家族の希望をかなえる事業です。これは単なるボランティアではなく、久米島としてもより多くの観光客を獲得するという目的もあります。ですから単に食物アレルギーの対応食を提供するだけではなく、都会ではできない体験や自然とのふれあいなど観光にも重点を置いています。さらに島の病院とも連携して、万が一アレルギー症状が出現したときの対策もしています。以前からこの取り組みを耳にして一度久米島に行ってみたいと思っていましたので、今回の訪問がとっても楽しみでした。

ところで、そもそも久米島はどこにあるのか皆さんご存知ですか?
久米島は沖縄本島の西に位置し、那覇から飛行機で30分ほどの距離にあります。(私も沖縄県にあることくらいしか知りませんでした。)那覇には何度か行ったことがあったのですが、私にとっても久米島は初体験でした。
訪問した時は真冬だったのですが、昼過ぎに到着したときには早朝の東京とは気温が10℃以上も差があり、滞在中コートは単なる荷物になってしまいました。(でも現地の方にとっては肌寒かったそうです。)今回の視察は久米島町観光協会の方が同行してくださって、翌日の午後には空港を出発するという短時間の滞在でしたが非常に内容の濃いものでした。

メインである食物アレルギー対応食は、提供している3つのリゾートホテルすべてで試食できました。食事は卵、乳、小麦、えび、かに、大豆など10品目を原材料から完全に除去したものなのですが、まず率直な印象が「えー、これ除去食なの!?」でした。これまでに何度も病院食で除去対応食を見てきましたが、さすがにホテルのレストランのシェフが作るだけあって今回の食事は見た目にもおいしそうなことに驚いてしまいました。もちろんおいしくて、途中で何度も除去食ということを忘れてしまうくらい普通食と比べても(当然レストランのおいしい食事と比べてです)劣らない味でした。この料理では使用できる調味料も限られており、味や香りに少し特徴があるためシェフたちの苦労は大変だったと思います。
また除去食メニューにはいくつか種類があってあらかじめ好みのものを選択することもできます。さらに食事の際には調理したシェフが説明に来てくれて、この人が作ってくれたんだという安心感が得られ(ここも病院と違うところです)、料理についての質問も直接できます。病院での除去対応を参考にしながら始まっていますが、すでにそのお手本を超えている面もあり、逆に病院が見習うべきところもあるのではないかと感じました。

食事以外の時間は久米島内を観光させてもらいました。それほど大きくない島なのですが観光地も多く、主要なところを時間内になんとか見ることができ、あと1日、2日あっても十分楽しめたと思います。もちろん久米島の海は言葉では表現できないくらいの美しさですから、海水浴ができるシーズンやダイビングやシュノーケリングを楽しむ方にはもっと時間が必要でしょうね。

久米島の素晴らしい自然と文化にも触れることができ、島の印象は食物アレルギーとは関係なくても楽しめるまさに「観光地」といった感じでした。私もまた訪れたいと思いますし、皆さんにもお勧めできる旅行先の一つです。

久米島の食物アレルギー対応の詳細についてはホームページをご覧ください。
↓↓↓
http://www.kumejima-qol.com/

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2011年01月30日 22:33に投稿されたエントリーのページです。

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