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2 東日本大震災に対する支援活動のご報告 (事務局長 中西里映子)/メールマガジン53号

前号メールマガジンで発災時からの支援活動の報告をさせていただきましたが、その後の活動報告をいたします。

発災後直ちに、被災地の現状把握、支援の拠点づくり、物資のお届け、SOSを発せられた患者さんへのサポート、ニーズを把握するための避難所への「アレルギーでお困りの方ご相談ください」のポスター貼りをおこなってきましたが、被災地はもとより避難先・疎開先まで含めたさらなるニーズを把握するため、4/3(日)・4/4(月)に、アレルギーの会全国連絡会が、「アレルギー相談110番」を実施し、アレルギー支援ネットワークも相談電話を受けました。(アレルギーの会全国連絡会は、全国の約40の団体がネットワークを持ち、情報の交換や会報の発行、年に一回の交流会を開催しています)
被災地を含む全国各地でマスコミや様々なネットワークを使い広報されましたが、アレルギー相談件数は全体として10件に満たない結果でした。
また寄せられた相談は、食品や薬などの支援物資についてはわずかで、「医療機関を紹介してほしい」などの内容でした。
この結果をどう捉えるか。
検討した結果、私どもは改めて現状をできるだけ正確に把握する必要があると考えました。支援を必要とされている方々に支援する情報が届いているのだろうか、届いていないとすれば、どうすればよいのかなどです。

この結果を踏まえ、私どもは改めてバイクボランティアの皆さんのご協力を得て、避難所及びその周辺の現状とニーズ把握および「避難所ポスター」貼りをよりきめ細かく徹底する努力を行うこととしました。

加えて、支援拠点ができていない福島県内、特にいわき市を中心に災害ボランティアの皆さんの協力を得て、支援拠点ができないかどうかの模索と地域の状況を把握すること、また仙台・盛岡の拠点に物資をお届けすることを目的に、4/5(火)から4/8(金)までは私どものスタッフ・栗木が福島・宮城・岩手で活動し、その後も、数人のバイク(車)ボランティアの皆さんが1週間から2週間以上被災地で活動しました。

福島の避難所は、新学期が始まったためか小学生は見かけたものの乳幼児の姿はほとんどなく、疎開されていることが伺えました。
一方、岩手県の避難所には、子どもの姿を多く見かけ、ポスターを貼った地域からは、必ず相談の電話がはいってきています。
また、宮城県内で活動する災害ボランテイア・「つなプロ」の方々などが「要支援者」のニーズ把握を行っており、この中でアレルギーに関わる情報も整理していただいており、順次、私どもにも連絡が入るようになってきています。

こうした活動の結果、岩手県の拠点である「盛岡アレルギーっ子サークル「ミルク」」の方々や、宮城県の拠点「あっぷるんるんくらぶ」が、アレルギーにお困りの方の相談に応え、支援物資を届けるなど精力的に活動をされています。また、私どもから支援派遣している長期滞在のバイク(車)ボランティアの皆さんが支援物資のお届けなどの連携活動もあわせてしており、現在は、遠野市内に作られた共同ボランティアセンターを拠点として、陸前高田や南三陸町など被害の大きい地域のニーズを把握しているところです。

こうした活動により避難所などへのポスター掲示は、福島県内、宮城県、岩手県内で、およそ300箇所以上になり、支援要請や相談は電話での対応で済んだものも含めるとのべ80件以上(物資のお届けはのべ約60件)となっています。

活動に参加しているバイク(車)ボランティアは、メディアやインターネットなどの情報を通じて参加された方、アレルギーの会全国連絡会などが自発的に行っているアレルギー患者支援の活動に共感した方、ご自身やお子さんがアレルギーという方など幅広い人々で構成されています。
被災地でのバイク(車)ボランティアの活動は困難が多く、宿泊場所も十分にありませんし、車中泊を余儀なくされることが多く、過酷な状況ですが、そうした事情を承知で活動を申し出る方々も多く、皆さんたちの熱い気持ちにより、これらの支援活動が支えられています。

被災者からの相談内容は、発災直後の「食べるものがありません、助けてください!」にかわり、現在は、主食よりこどもの嗜好品(おやつ)の要望や、ぜん息のお薬や吸入器の要望・相談、アトピー性皮膚炎の悪化に関するお薬の要望や相談、また大人の方からの相談など多様な内容に変化してきています。
環境の悪化に伴い体力も消耗している中で、普段ならさして問題なく対応ができていることも、被災地ではなかなかできない事情もあり「症状が悪化している」という相談も増えてきています。

発災後、一か月半以上もたっているのに、避難所から「ようやくアレルギー支援ネットワーク」にたどりつきました・・・というSOSもいまだに後を絶ちません。

吸入器が津波で流されて困っている、長引く避難所生活で、ぜん息の症状やアトピー性皮膚炎が悪化し悩んでいる、福島から疎開するにあたり、疎開先における寝具などに対する不安がある、などまだまだ、患者さんのニーズは今後も続くことが考えられますし、ニーズ内容の変化も予想されます。
また、地域でアレルギーの患者が育まれるにはどうしたらよいかなど、長期にわたる復興事業の中でアレルギーの患者さんへのサポートをどうするかという新しい課題も見はじめています。こうした課題を整理し、それぞれの団体に何ができるのか、改めて支援体制も含めた検討が求められつつあるのではと感じています。

アレルギー支援ネットワークでは、5月末〜6月にかけて、被災地におけるアレルギーの理解を深める取り組みとして、食物アレルギーの方も含めて誰でも美味しくいただける炊き出しを行う予定で準備をすすめています。
現地で一緒に炊き出しをしてくれるボランティアさんを募集しています。

お申し込みはこちらまで。
http://www.alle-net.com/bousai/touhoku_taiheiyo.html#bora
支援金についてのお願いhttp://www.alle-net.com/bousai/touhoku_taiheiyo.html#gien
※詳しい活動経過はこちらからご覧ください。
http://www.alle-net.com/bousai/touhoku_taiheiyo-katu1103.html

(事務局長 中西里映子)

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2011年05月01日 05:44に投稿されたエントリーのページです。

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