「情報の扱い」
独立行政法人国立成育医療研究センター アレルギー科
二村昌樹先生
こちらに寄稿させていただいてから約1年が経過しました。アレルギーに関することを中心にいろいろと書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?今回がアレルギー情報見聞録の最終回となります。
この1年間にも実に多くの情報が皆さんの耳に(目に)入ったことと思います。全国や世界のニュース以外にも、近所のうわさ話、学校からの情報など発信源もさまざまです。その内容も政治情勢、健康、お金に関することなど多岐にわたっているでしょうが、皆さんはこれらの情報をどのように扱っていますか?全ての情報を100%信じているわけでもないでしょう。
アレルギーに関する情報も、世の中に多くあふれています。「あの薬がアトピーに効くらしい」「こうすると食物アレルギーが治る」など正しい情報もあれば誤った情報もあります。これらの中から、それぞれの情報の正しさを自分自身で判断しなくてはいけません。ここで私が皆さんにお勧めするのは、情報をいろいろな方向から確認するということです。たとえばテレビから得た情報をインターネットや他の人に確認してみたりするのです。きっと一方向からだけでは分からなかった真実が見えてくると思います。
また得られる情報の数は10年、20年前と比べても明らかに増えていますし、情報を得る手段もパソコン、携帯電話、スマートフォンなど昔よりも多くなっています。しかし情報が多いということは良いことばかりではありません。確かに判断する材料は増えますが、必ずしも情報が多ければ判断が楽になるというものでもありません。情報が多いほど余計に迷ってしまいます。「人生は常に迷うもの」といった人がいますが、確かに迷うことで人は前に進み成長します。しかしこの迷いを悪用する人がいることも忘れてはいけません。(人が不安に思っているところはビジネスになるそうです。)
現在皆さんは、多くの情報の中で何か判断に困っていませんか。もし迷っているなら、安易に結論を出さずに十分に悩んで結論を導いてください。その際に情報の真偽や発信源にも注目して悩んでください。なかなか結論が出ない場合には、逆にもっと多くの情報も取り入れて判断するのもよいでしょう。最終的には、自分の都合のよい結論を選ぶことが多いというのが人間の心理らしいですが…。