« 3 おいしいレシピ 「さつま芋の白ゆき蒸し」青木好子先生/メールマガジン58号 | メイン | 5 東海地域のアレルギーの会のご紹介 (名古屋市)名東区アレルギーの会設立準備会を開催します!!/メールマガジン58号 »

4 「肌に優しいシャンプーの選び方」第6回/メールマガジン58号

先月まではシャンプーの選定に関する基礎知識に重点をおいてきました。今月から低刺激、天然系、無添加、アミノ酸など選定に関わるキーワードの意味するところを検証して行こうと思います。まず、“低刺激”です。低刺激を謳わないシャンプーはないと思われるくらい広範囲に使用されていますのでその背景をみてみます。

★化粧品原料はそもそも低刺激
シャンプーは洗浄成分が主剤ですから配合されている界面活性剤の刺激性が製品を大きく支配します。従って配合されている界面活性剤をみれば大体判断できます。
ただ、数ある界面活性剤のうち低刺激なものが化粧品原料として認可(*)されていましたのですべて“低刺激”を謳っても間違いではないのが難しいところです。その中でも差はありますので特に刺激が少ないものを慣用的に“低刺激”として使っています。
(*)現在この制度はありませんが、当時認可されたものが今でも広く使用されています。

★刺激の評価
界面活性剤の刺激に関する指標としては、皮膚一次刺激性、皮膚累積刺激性、眼粘膜刺激性、タンパク質変性、細胞毒性、アミノ酸溶出量、皮膚浸透残留性、つっぱり感(洗顔時)などなど10数項目あります。指標によって対象となる界面活性剤の刺激の程度が異なることがあるので数種類の指標をみて総合的に判断する必要があります。これらのデータは、香粧品(化粧品・トイレタリー)化学研究開発誌(フレグランスジャーナル誌)、油化学会誌(油化学)などに載っています。

★界面活性剤の低刺激性
上記のデータを整理するとシャンプーの主剤に使用されるアニオン界面活性剤のなかでは、大別して低刺激性の順で、アミノ酸系(メチルタウリンも含む)≧ラウリルリン酸系など≧石けん系≫ラウレス硫酸系≫ラウリル硫酸系となります。
この順序は化粧品技術者の共通の認識だと思います。
ラウレス硫酸系、ラウリル硫酸系は原料の由来から高級アルコール系界面活性剤ともいわれ市販シャンプーの80〜90%に使用されています。ラウリル硫酸系に高分子を付加して低刺激化したものがラウレス硫酸系です。これができてからラウリル硫酸系は、段々減り最近では、ほとんど使用されなくなりました。
それだけ低刺激に対する市場のニーズは大きいと言えます。
ラウレス硫酸系を主剤としたシャンプーを“低刺激”ということはないのですが、アミノ酸系アニオン界面活性剤を刺激緩衝成分として配合して“低刺激性”を謳うことはあります。また、両性界面活性剤は低刺激なものが多いのでアニオン界面活性剤に補助的に加えて“低刺激”としている例もあります。なかにはラウレス硫酸系に天然エキスを配合して“低刺激”としている例もあるようですが、これは一寸?と思います。

★アトピーのための低刺激性
刺激性の評価データは専門書のなかにあり一般の方が見る機会が少ないのですが、角谷貴斗著「化粧品中身の真相」(中央書院)のなかのp.230「アトピーに優しい界面活性剤の話」にはデータが載っていますので引用します。
皮膚浸透残留性では、アミノ酸系界面活性剤(メチルタウリンも含む)が一番低刺激で次いでラウリルリン酸系など>ラウリル硫酸系>石けん系となっています。 
NMF(天然保湿因子)というアミノ酸が洗浄によって溶出するデータでは溶出しない順(低刺激性の順)は、アミノ酸系>ラウリルリン酸系>石けん系となっています。
これらの指標ではアミノ酸系界面活性剤がもっとも適していることがわかります。
石けんは合成界面活性剤より皮膚浸透性が低いといわれますが、この場合の比較対象となっている合成界面活性剤は家庭用洗濯洗剤に使用されるアルキルベンゼンスルフォン酸Na(ABSまたはLASと略記)のことで脱脂力が強く、シャンプーには配合されません。
シャンプーに配合される界面活性剤の中での比較では上記の傾向です。
ここでは、石けん系はよい評価ではありませんが、他の指標も考慮すると総合的には「★界面活性剤の低刺激性」で書いた順序でよいと思います。

★“低刺激”の見方
このような状況なので“低刺激”を謳っている場合は、何を以って“低刺激”としているかを見極める必要があります。まずは、洗浄成分の低刺激性で判断するのがよいと思います。なお、保湿成分の高濃度配合はシャンプーの低刺激化に寄与していると考えられますが、直接結びつけて“低刺激”を謳っているものはごく少ないようです。
最終的には、ご自分で使ってみて刺激が少なく使用感もよくて“優しい”と感じる製品がベストです。キーワードとしての“低刺激”はそのような商品に出合う確率を高めてくれるものと理解されるとよいと思います。


About

2011年09月30日 17:09に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「3 おいしいレシピ 「さつま芋の白ゆき蒸し」青木好子先生/メールマガジン58号」です。

次の投稿は「5 東海地域のアレルギーの会のご紹介 (名古屋市)名東区アレルギーの会設立準備会を開催します!!/メールマガジン58号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。