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2 「気管支喘息とアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎」第一回 〜「せき」ってどうして出るの?〜 てらだアレルギーこどもクリニック院長 寺田 明彦/メールマガジン61号

皆様こんにちは。
てらだアレルギーこどもクリニック院長・寺田明彦です。今回からシリーズで6回担当させていただきます。
私はアレルギー疾患の中でも、特に気管支喘息(ぜん息)とアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎についてお話をします。

今回は、「せき」ってどうして出るの?というテーマです。
長引く「せき」の原因は・・・
子どもが一般病院とクリニックの小児科にかかる理由の中で、もっとも多いのは「咳(せき)」です。普通のかぜ症候群(感冒とも言います)はウイルスが原因でおこります。かぜ症候群は咳、鼻水、のどの痛みや時に高い熱もでますが、多くは1週間程度で自然に治ります。このような急性の呼吸器感染症とは違い咳が1ヵ月以上もが続いたり、繰り返したりすることがあります。このような「長引くせき」の原因には、RSウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、百日咳、副鼻腔炎などの感染症と気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患、さらに胃食道逆流症や心因性咳嗽(がいそう)などがあります。
そもそも、「せき」はどうして出るのでしょうか。私も分担執筆させていただいた「こどもの咳嗽・診療ガイドブック」(ニューロペプタイド研究会、徳山研一、他編集)では次のように説明されています。
咳の受容体(感じる場所)は、咽頭、喉頭(声を出す声門あたり)、気管、気管支、胸膜などに分布しています。気道内の異物、分泌物、そして冷気暖気などの温度差による物理的刺激、タバコの煙、酸っぱい酢のかおり、カプサイシン(唐辛子の成分)などの化学的刺激が作用して咳を起こします。その刺激情報は末梢神経を介して脳の咳中枢に伝えられます。すると咳をしなさいという刺激が中枢(脳)から神経によって声帯筋、気管支筋、横隔膜、肋間筋などに伝えられ、収縮することで咳が起こると言われています。
小児の急性上気道炎、いわゆる風邪による咳は、だいたい1週間で半分、2週間で90%以上が改善します。そこで、咳が続く時間の長さによって2週間以内を急性、2週から4週を亜急性、4週間以上続く場合を慢性と言っています。大人では8週間以上続くと慢性咳嗽と言いますが、子どもはそんなに待っておられません。保護者にすれば4週間でも長く感じますね。
また、咳の特徴として、喀痰を伴わない乾いた咳を乾性咳嗽(かんせいがいそう)と呼び、痰を伴う湿った咳の場合を湿性咳嗽(しっせいがいそう)と言います。また、喉頭部(声を出すあたり)の狭窄からおき、嗄声(させい=声がかすれる)を伴うものを犬吠様(けんばいよう)咳嗽と呼びます。犬が吠えたような咳と言われていますが、私はお母さんたちに「オットセイが鳴いたような咳」だと説明しています。これは急性喉頭炎や急性性門下喉頭炎(クループ)と言って特に5歳までに多い病気です。そして、長引く咳で有名な百日咳は、けいれん性咳嗽と言っています。強く連発し顔が真っ赤になる激しい咳が出ます。さらに咳き込んで吐いたりすることもあり、保護者が不安になることが多いです。
最も多い症状の咳の診断は、自然に治ってしまえば簡単ですが、長引く場合はとても難しいです。次回からはこの「咳」について、私なりの原因の考え方についてわかりやすく解説していきます。


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2011年12月31日 23:55に投稿されたエントリーのページです。

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