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1 「気管支喘息とアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎」第二回 〜長引く咳の原因は・・・一番が気管支喘息、二番は副鼻腔炎〜 てらだアレルギーこどもクリニック院長 寺田 明彦/メールマガジン62号

  咳がでると、胸が痛くなったり、息が苦しくなることもあり苦しいし、食べたものを吐いたりしてつらいものです。また、子どもが咳をすると、保護者の方は特に夜寝られなかったり、抱っこして過ごしたりと看病もつらいですね。
 かぜ症候群による咳は、急性咳嗽で多くが2週間以内になおります。また長くても90%は4週間以内にはよくなります。咳止めには、鎮咳剤、去痰剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン薬が混ざっています。また市販薬にはアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤も加えていることが多いです。こういったいわゆる風邪薬は症状を和らげてくれますが、ほとんどのかぜは「日にち薬」です。つまり日が経てばよくなりますので、安静にして暖かいものを食べて栄養をつけ、よく寝て休養するのが一番です。
 しかし、咳が長引いて4週間以上も続くと、さすがに親も不安に思い、小児科、耳鼻咽喉科など複数のクリニックを受診して相談しまくる「ドクターショッピング」を始めます。私のクリニックに始めて受診される慢性咳嗽の患者さんは、それまでに平均2か所は受診してこられます。診断から治療というのはひと続きの川の流れのようなものです。薬の効き具合によって原因の病気が解ることもあります。他のクリニックへ受診される場合は、これまでどのような診断であったか、またどの薬をどれくらいの期間服用したかなど経過をまとめてお話しいただけるよう整理しておくことをお勧めします。
 さて、このような慢性咳嗽の原因について説明します。この一年間に「4週間以上繰り返す咳嗽」を主訴にてらだアレルギーこどもクリニック(当院)を受診した患者66例(年齢2歳〜16歳、平均年齢7.1±3.0歳、男児37例)で血液検査およびレントゲン検査(胸部単純X線、Water's法)により肺疾患と副鼻腔炎(前頭洞・上顎洞)を評価したところ、気管支喘息25例、副鼻腔炎24例、気管支炎5例、上気道炎の反復3例、百日咳2例、アレルギー性鼻炎2例などでした。また副鼻腔炎と診断した患者うち6例は気管支喘息の既往がありました。このように、当院では慢性咳嗽の原因での一番は気管支喘息、二番が副鼻腔炎(いわゆる、蓄膿症)でした。
そこで副鼻腔炎について説明します。副鼻腔は、顔の骨の中にできている空洞です。4歳から発達し始め、鼻の横には上顎洞、上には前頭洞、奥には篩骨洞と蝶形骨洞が形成されます。ここに炎症が起こり、膿(うみ)がたまったり粘膜が腫れたりする病気です。4週間以内の経過の場合は急性副鼻腔炎と言い、4週間以上続く場合を慢性副鼻腔炎と言います。急性副鼻腔炎の原因は、かぜ症候群などウイルス感染が多く、子どもがかぜをひくと約半分に副鼻腔炎が認められるという研究結果があります。また歯性上顎洞炎といって虫歯が関係していることもあります。診断には耳鼻科的手段として、鼻腔内視鏡(カメラ)やレントゲン検査が必要です。小児科医の私は内視鏡は持っていませんので、耳鏡を用いた鼻腔の観察を行い、症状から副鼻腔炎を疑った場合はレントゲン検査で診断しています。特に、慢性副鼻腔炎の症状としての特徴は、湿性咳嗽(湿った咳)、黄色から緑色の粘調な鼻汁、鼻閉、後鼻漏(のどへ鼻汁が漏れ落ちること)です。よく「痰がからむ咳」を保護者は訴えますが、痰とは肺から出るもので、気管支喘息や肺炎、気管支炎など下気道の病気で認められます。副鼻腔炎の場合は、上気道鼻汁がのどへ落ち込んで生じる湿った咳で、どちらかというと咳払いに近いと思います。
 副鼻腔炎の治療としては、急性副鼻腔炎で細菌感染が関与している場合は、適切な抗生剤を投与します。また鼻内の局所治療が必要ですので耳鼻咽喉科の先生にも診てもらいます。慢性副鼻腔炎の場合は、少量マクロライド療法を行います。さらに鼻汁を吸ったり、鼻腔を食塩水で洗う鼻洗い(鼻うがい)を勧めています。鼻洗いは500mlのペットボトルに水を入れて5g食塩を加えて溶かします。そして、お風呂で入浴するときに、ペットボトルごとお風呂に入れて温めた食塩水を20-60ml程度使って左右の鼻腔を洗います。ドラッグストアには鼻洗浄用の液や試薬を売っていますので参考にしてください。
 次回は咳の原因として気管支喘息についてお話しする予定です。


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2012年01月31日 17:42に投稿されたエントリーのページです。

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