10月から1月まではシャンプーの選定に関わるキーワードの意味するところを検証してきました。これらはいわば“物の質から選ぶ”ための指標でした。今月は観点を変えて“情報の質から選ぶ”ノウハウについて考えてみます。
★ 開発目標またはコンセプトが明確か?
選定を進めるときは大枠を知った上で徐々に細かいことをチェックして行きます。その意
味ではその製品の開発目標やコンセプトが明確になっていると全体像を把握しやすく、メーカーへの信頼度も高くなります。
★ 十分に情報が提供or開示されているか?
宣伝文句ばかり目立ち、開発目標、コンセプト、成分の説明がおろそかになっている例もあります。製品には全成分表示が義務付けされていますが、パンフレットやホームページにも載っている方がベターです。配合目的まで書いてあるくらいの親切さが欲しいですし、詳しく解説してあるものは好感が持てます。
最近は安全や環境に対する考え方も書いている例が増えています。
★ 情報は正確か?(専門家の中庸を得た考え方か?)
いろいろ情報が提供されていても正確なものでなければ意味がありません。ここでいう“正確”とは“その道の専門家の中庸を得た考え方”を指します。天然物だから安全、化学物質だから危険とするような○×式の誤った情報が氾濫していますので取捨選択が必要です。一般の方は「天然」には安心感があり「化学物質」「合成物」には何となく不安を感じておられる方が多いと思います。これはやむを得ないことですが、技術的にみれば「天然」でも「合成」でも安全なものは安全ですし問題のあるものはどちらにもあります。
適正広告ガイドラインでも「天然成分を使用しているので安全」という表現は禁止されています。また、合成界面活性剤が問題のような話がよくでますが、これも正確な情報ではありません。6月号記載のABSと略記される界面活性剤の情報がシャンプーなど化粧品用界面活性剤に誤って持ち込まれたものと思います。
★プラス思考か?
正確な情報が普及していないこともあって石けんシャンプーだけをよしとする考えの方がまだまだおられます。ご自分の好きなタイプのシャンプーがあることは大変よいことですが、これ以外のものを全て否定する傾向にあるのが問題です。これでは石けんシャンプーが合わない方は、使えるものがなくて困ってしまいます。しかし、今は低刺激性・低アレルギー性で使用感も良いものが色々開発されていますので、プラス思考(ご自分に合ったものを選ぶ楽しさ)で臨みましょう。
★ アトピー性皮膚炎の理解は?
“このシャンプーですべてのアトピーが治る”と表現をしているものもありますが、薬事法違反だけでなくアトピー自体の理解も間違っていると私は思います。
シャンプーはスキンケアの一環として毛髪、頭皮、肌を清潔にして健やかな状態に保つことによりQOLの向上をサポートしますが治すものではありません。アトピー性皮膚炎には「足して10で発病」http://andantelife.co.jp/atopy/ten.htm
または「アトピーコップ」(いろいろな要因が重なって溢れると発病)という考え方があります。
従ってシャンプーなどを変えたことで症状が改善されることはありますが、「シャンプーでアトピーが治る」と表現するのは行き過ぎです。アトピーは個人差も大きいので万能なシャンプーはありません。
★誠実か?(掲示板、問い合わせへの回答)
製造販売元や開発会社に問合せを出したときに、誠意を持って迅速・丁寧に回答してくれるかもどうかも選ぶときの参考になります。
専門的なことをわかりやすく説明するには、基礎的なことをしっかり理解していないと回答できません。問合せは自分のためでもあり、販売サイトの力を知ることにもなります。わからないことは、“わからない”と言ってくるくらいの方が却って信頼を置けると感じることもあります。なお、因みに私どもでは掲示板に寄せられたお問合せなどについて、あんだんてFAQ http://andantelife.co.jp/bbs/bbs_faq.htmというサイトを設けて、約50項目で検索できるようにしています。
★お客様の声
本来一番参考になるものですが、薬事法逃れに使われることもあり、またコピーライターの作とのうわさもあるのは残念なことです。裏づけをとりにくく、却って混乱を招くとのことで適正広告ガイドラインでは体験談的広告は禁止されています。
口コミサイトも貴重な情報源ですが、どのように情報を集めているかも知っておきましょう。楽天市場の「感想」のように買った人でないと書き込めないサイトを参考にされると良いでしょう。先日も“食べログ”でのやらせ投稿が問題になりました。
勿論お断りしていますが、私どものところにも数社からアプローチがありました。