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1 「アレルギーのおはなし」第七回 〜サンスクリーン剤の新基準〜 あいち小児保健総合医療センター 佐々木渓円/メールマガジン74号

みなさま、いかがお過ごしですか。気象庁が作成している月別紫外線照射量の変動を参照すると、1日あたりの紫外線量は今月2月からゆっくり増加し、夏季にピークとなります。肌を気にしてサンスクリーン剤(日焼け止め)を使用する方もいらっしゃると思いますが、今年から紫外線防止効果の表示基準が一部変更されました。
 まず、紫外線と日焼けについて、簡単にふれましょう。紫外線は波長の違いによって3種類に分類され、波長が短い方からUVC(短波長紫外線)、UVB(中波長紫外線)、UVA(長波長紫外線)があります。紫外線のなかで地表に到達するものはUVBとUVAとなり、UVBのほとんどは大気層で吸収されます。紫外線には悪いイメージが多いかもしれませんが、私たちの体に作用してビタミンDを合成し骨や筋肉などに働きかけて健康維持に役だつだけでなく、アレルギー疾患を含む一部の病気の治療にも利用されています。しかし、皮膚に過度の紫外線があたることで日焼けに至り、少量の紫外線が長時間あたることが皮膚の性状変化や一部の皮膚疾患の原因になります。一般的な日焼けは2種類に分けられ、日光(紫外線)を浴びて数時間から翌日頃までがピークとなる赤い日焼け(サンバーン)と、数日後から生じる黒い日焼け(サンタン)があります。また、日焼けには民族差・個人差がありますが、赤くなりやすいが黒くなりにくい人の方が赤くなりにくい人よりも紫外線対策の必要性が高くなります。
 一般的なサンスクリーン剤には紫外線防止効果の基準としてSPFとPAという表記がされています。SPFはUVBによるサンバーンを防ぐ効果を表しており、数字が大きいものほど効果が高く、最高値は50+です。平均的な日本人を例にすると、日光を真夏の昼間に20分間あびると翌日にサンバーンを生じますので、SPF 10のサンスクリーン剤を使用すると、20分×10=200分=約3時間までは日光をあびてもサンバーンが生じない計算になります。一方、PAはUVAによるサンタンを防ぐ効果を表しており、+が多いものほど効果が高いことになります。
さて、今年からの変更点についてですが、これまではSPFとPAの両値は化粧品業界の自主基準により算出していましたが、昨年、国際標準化機構(ISO)から国際規格が発行されました。これまでの測定基準と国際規格に大きな違いはありませんが、新基準によってPAの最高値がPA+++からPA++++となりました。このため、以前の測定基準によってPA+++と記載されているサンスクリーン剤にはPA++++に相当するものもあります。PA++++の記載は、今年の1月1日から記載可能となりました。実際の使用例としては、散歩などの外出であればSPF 10からSPF 20、PA+かPA++のサンスクリーン剤が用途に適していますが、自分の肌が日光の影響を受けやすいか(赤くなりやすいか)を考慮すること、汗をかくことでサンスクリーン剤の効果が低下すること、SPF・PA分類を過信しすぎずに、適度な外出時間や帽子などによる紫外線防止の工夫をすることも注意点になります。また、敏感肌用と記載されている吸収剤フリーの製品でも肌に合わない場合がありますので、サンスクリーン剤の使用や日焼けによって皮膚に気になる症状があれば主治医に早めに相談してください。

参考資料:
日本化粧品工業連合会プレスリリース(2012年11月14日)

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2013年01月29日 23:11に投稿されたエントリーのページです。

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