アレルギーっ子の防災
★第10回 2014.7.18「行政の災害用備蓄食 −対策依頼」 防災士 中根輝彦
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メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
災害復旧支援・防災におけるアレルギー支援の取り組み事例について、一つ一つ紹介するシリーズ、第6回目です。
前回は「行政の災害用備蓄食−情報共有」について紹介しました。各地の自治体の対応状況について情報を共有し、全国的な雰囲気作りをしようというお話でした。
今回は、「行政の災害用備蓄食−対策依頼」についてのお話です。行政に対策依頼をする方法について考えてみたいと思います。
前回のメルマガで、アレルギー支援ネットワークさんが岡崎市へ対策依頼をしたときの申し入れ文書をネットワーク会議で紹介して下さったことを紹介しました。些細なことでもノウハウを共有できるのは大変心強いです。いろいろなアイデアがあると思いますが、自分なりに考えた方法を紹介します。「私はこれで成功した」と胸を張って言えるとよいのですが、今回はアイデアのみです。どなたかチャレンジしてみて結果を教えていただけるとうれしいですね。事例が増えます。
アレルギー支援について、自治体の防災担当部署へ直接陳情する「直球ど真ん中」な方法以外に、「あわせワザで1本」な方法を考えてみたいと思います。災害時要援護者支援策の一つとして「食事支援」を、食物アレルギーだけでなく、他の摂食ハンディを持つ方と一緒に盛り上げたらどうかという提案です。メルマガのタイトルは「災害用備蓄食」になっていますが、内容は「食事支援」まで広げて考えたほうがよい内容です。
第2回のメルマガ「共助」のお話の中で、支援して欲しいと考えているのはアレっ子だけではないこと、災害時要援護者といわれるいろいろな方がいろいろな支援を欲していることを紹介しました。災害時要援護者の支援が提言されていますが、食物アレルギーは災害時要援護者という認識はほとんどありません。一般的には「単独での避難行動が困難」「避難所生活が困難」なため支援が必要な方という漠然とした定義で、自治体により対象者や支援策も異なっています。
最近は福祉避難所の運営も提言されるようになってきました。社会福祉(高齢者福祉、障害者福祉)の立場から、一般の方とは分離した避難所として、それぞれのニーズにあったサービスを提供できる避難所を運営しようという呼びかけです。平常時でもいろいろな支援がされている福祉の分野なのですから、被災時でも福祉視点でのサービスが必要という考え方です。
災害時要援護者支援策の具体的な項目として「災害時の食事」についての支援などと一歩踏み込んだ施策を掲げている例はほとんど聞いたことがありません。備蓄食という視点で考えると、それぞれが自助として備えればよいとなってしまい、なかなか支援に結びつきません。
福祉分野では、食事の介助など「食べる」ことのお手伝いもあります。箸、スプーン、食器などをうまく扱えない。配膳や片付けができない。嚥下障害がある。など、いろいろな状況でヘルパーさんが介助していますよね。おそらく、避難所生活でもこういった支援が必要になるから、福祉避難所が必要という考えに発展しているのでしょう。
食物アレルギーのみなさんが避難所生活をするときに、このような介助作業的支援が必要になるならば、福祉避難所のサービスのひとつに取り込んでもらえるよう働きかけるのもよいのではないでしょうか。防災担当部署へ申し入れるのではなく、福祉関連や子ども関連の部署へ申し入れることになります。
備蓄食の蓄えを考えるとき、アレルギー対応食品は価格が割高だったり、種類が少なかったり、入手が困難だったりと、一般の方の備蓄に比べて苦労が多いように思います。こういった状況は、アレルギー対応だけでなく、病気治療のための食事制限がある方も同様ではないでしょうか?肝臓病、腎臓病、高血圧…。いろいろ考えられますが、食事療法などで、医師から厳しく指導されている方は、避難所で炊き出しを提供されていても食べることができないのではないでしょうか。
このように考えると、医療分野の視点で災害対応を考える必要があり、福祉視点とも違ったアプローチができるのではないでしょうか。自治体の防災担当部署へ申し入れるのではなく、医療機関に災害対応を考えてもらうことになります。
さらに、赤ちゃんのミルクや離乳食なども、避難所の炊き出しや配給される救援物資でも十分とは言えないかもしれません。こちらは、子育て支援関連の部署を巻き込むことができそうです。
今回は、「行政の災害用備蓄食−対策依頼」から視点を広げて、福祉・医療・子育ての視点で食事支援全般に関して、関係機関を巻き込んで支援依頼をしていく事例を紹介しました。
次回は、「防災啓発ツールへの反映」について紹介します。
防災士 中根輝彦
日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane
内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。
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