今年初めて、私達は、市(日進市)が開催する「地域合同総合防災訓練」に、アレルギーの会として参加しました。
今年の開催会場は、10/19に梨の木小学校、11/2に北小学校で、それぞれに参加し、アレルギー対応の炊き出しと啓発コーナーのブースを出しました。
当初は、2カ所で行われる訓練の両方に参加するかどうかも迷いましたが、結果、立て続けに2回に渡って参加することで、学ぶことがたくさん生まれ、よりたくさんの方に直接メッセージを届ける事ができ、参加メンバー一同、やって良かったと感じています。
振り返ってみれば、会として初の試みであるだけでなく、これまで自分達の誰にも経験のないことでしたので、分からない事、判断に迷うことの連続でした。
1番、判断に悩んだ点は、メインのアレルギー対応の炊き出しの内容や調理の仕方でした。実際に被災した時には、“各家庭に残っている食材を持ち寄っての炊き出しになる事”を前提とした上で、一般の方に“間違いなく実施して頂ける内容にする事”を基準に、検討を重ねました。
最終的に、みんなが食べる炊き出し(日進市の炊き出しメニューは豚汁)の材料から、27品目に該当するアレルゲンを含む原材料を除いて、別鍋で調理し、同じ材料からアレルギー対応の一品ができる事を伝える事にしました。
「途中で取り分ける」という方法と、「煮込む前から別鍋に分ける」という方法を検討しましたが、一般の家庭ではアレルゲンとなる添加物が含まれるだしの素やみそが使われているケースが少なくない事から、「入れちゃった!」という間違いがない後者を選択して、地域の炊き出し関係者に伝え、当日もそのように実施しました。(尚、この「別鍋」の発想は、日進市では卓上型ガスカセットコンロを多数防災炊き出し用に備蓄している状況に合わせたところでもあります。)
もう1つ、難しかった点は、訓練参加の説明や準備にあたる中での、地域の方との関係づくりでした。市の防災訓練ではありますが、実際に現場で実施するのは地域の自主防災会や校区内の市民の皆さん自身です。
また、同じ日進市主催の防災訓練で、内容もほぼ同じですが、各校区の地域性を配慮して、市の支援の仕方は全く違い、段取りも異なりました。
片方は、新しいマンションが立ち並ぶ校区で、炊き出しを自主防災会が担当する以外は、家庭推進委員会や小学校PTAなど、児童の保護者たちが何十人も集まって、訓練の企画や運営に臨む形、もう一方は古くからの住宅街で、地域の自主防災会や自治会の役員、学校の教職員を主とした年配の方々ばかりのメンバーで構成され、市がリードする形で進められました。(市の担当者によれば、本来自主的に地域で防災活動が行われるのが望ましい形なので、「自分たちでやる」という地域はできるだけ任せるようにしているのだそうです)
会のメンバーは、就学前の乳幼児を抱える家庭が多く、昔のように親世代と住んでいることもないので、地域とのつながりは薄く、知り合いのない防災会議の場で、突然「アレルギー対応の炊き出しをしたい」と、理解を求める説明をするのは困難なものでしたし、実際の準備は、同じ備品ひとつ借りるにあたっても、相談やお願い先が違ったので、どこにお願いしたら良いのか右往左往する始末でした。
今回、同じ市の中でも、地域性に大きな違いがあることを体感し、アレルギーに関する理解を求めていく上でも、地域性を考慮した進め方が重要となることを学んだ次第です。
それでも、最後は、地域の方々にたくさん助けて頂きながら実施に至り、来場した訓練参加者の多くの方々に声をかけ、「アレルギー」という言葉を直に耳に届け、考えて頂く機会となった事は、私達にとって、今後の大きな大きな励みになりました。
被災した時に、当たり前に「アレルギー対応」を念頭において頂けるようになるには、まだまだ課題は多く、繰り返し伝えていく必要がありますが、初の試みが、快い一歩となり、一同ひとまずほっとしている次第です。
ぷちヴェール日進 大平亜依