« 4 千葉アレネット情報/メールマガジン96号 | メイン | 6 ぷちヴェール日進☆「地域合同総合防災訓練」に参加しました!/メールマガジン96号 »

5 アレルギーっ子の防災 第14回 「アレルギー対応の防災訓練−1」/メールマガジン96号

 メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
今回も災害復旧支援・防災におけるアレルギー支援の取り組み事例について紹介いたします。

 前回は、「クロスロード活用事例」について紹介し、アレルギー啓発支援ツールとしての可能性を考えました。

 今回は、「アレルギー対応の防災訓練事例」について紹介します。

 食物アレルギー対応の防災訓練といえば、炊き出しが定番と言えるでしょうね。一般用のメニューとは食材や調味料を変えて作る。メニューに含まれる内容を明示して、食物アレルギーの方が食べられるかどうか判断できるように情報提供する。アレルゲンの混入を防ぐため、一般用メニューと別の調理場や調理器具、担当者を明確に分ける。などが考えられます。

 これらの炊き出し訓練でも、調理担当者が変わったり、訓練の目的が異なっていたり、参加する方の立場が炊き出しの提供側かいただく側かの違いがあったりすると、同じような訓練であっても、気づきが異なってきます。目的や達成目標をよく考えて訓練すれば、マンネリ防止、バリエーション展開や応用力開発にもつながります。

 これまでにかかわった炊き出し訓練の事例をいくつかとりあげ、違いを考えてみたいと思います。

○2010年11月 西尾市総合防災訓練(西野町小校)
アレルギー支援ネットワークの指導により、自主防災組織の担当者が炊き出し調理。屋外のテントブース。調理器具は行政が要した一般用だったため、アレルゲンの成分が残留していないか検査キットを使用して確認。メニューは豚汁。啓発ブースを巡回視察した市長・市役所防災課・新聞記者らにアレルギー支援の必要性をアピール。

○2011年10月 西尾市総合防災訓練(一色町産廃跡地)
アレルギー支援ネットワーク、西尾市の会「アレっ子元気」が啓発、自衛隊がアレルギー対応炊き出し調理。屋外のテントブース。器具は自衛隊の炊飯車、ガムテープで「ダシなし」と明示。

○2012年11月 西尾市総合防災訓練(吉良白浜小学校)
「アレっ子元気」が炊き出し調理、啓発。屋外テントブースで調理予定だったが前夜の雨で体育館に変更。電磁調理器具。メニューは豚汁。

○2014年11月 日進市地域合同総合防災訓練(北小学校)
日進市の会「ぷちヴェール日進」が炊き出し調理、啓発。屋外テントブースで調理。途中まで自主防災会が一般用として一緒にハソリで作り、アレルゲンとなりそうな材料を投入する前に小鍋に分けて取り、アレルギー対応の調味料で味付けするため卓上カセットコンロに移して仕上げ。メニューは豚汁。自主防災組織との調整により、分業が可能となった。

 4つの事例を紹介しました。いろいろな調整の結果だと思いますが、少しずつ実施方法が異なっています。どれが良いということではなく、状況に応じて工夫し、臨機応変に対応した結果だと思います。いろいろな方法に挑戦することで応用力が養われます。

 また、比較してみると訓練の効果も異なることがわかります。これらを次の訓練の目的や達成目標の参考としていただけるとありがたいです。

○誰が調理するか
アレルギー関係者:発災時に自分たちがアレルギー対応の炊き出しをするための訓練。
自主防災組織:一般の方にアレルギー対応の必要性や具体的な方法を知ってもらう啓発指導。
自衛隊:自衛隊への依頼や対応可否の確認、全国の自衛隊組織への展開や中央官庁への波及の期待。

○どこで調理するか
屋外テントブース:野営・イベント型。大規模大量の炊き出し、ハソリなど高火力の調理器具が可能。
体育館:避難所型。電磁調理器具、卓上カセットコンロなど小規模な炊き出し、火気取扱いに配慮が必要、少量でよい場合、全天候対応可。

○調理工程
完全分離:混入防止を意識して、調理場・器具・担当者をすべて分ける。
途中分離:調理の効率を意識して、問題ない範囲で同一工程で実施する。

○メニュー
豚汁ばかりでよいか、他のメニューの試行。除去する原材料は27品目のどれか。


 今回は、「アレルギー対応の防災訓練−1」として、炊き出しを提供する側の訓練について紹介しました。

 次回は、「アレルギー対応の防災訓練−2」として、炊き出しをいただく側の訓練について紹介します。

防災士 中根輝彦

日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane

内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。

ご意見ご感想をいただけると嬉しいです。次の原稿を書く励みになります。アレルギー支援ネットワークの事務局まで、お寄せ下さい。
宛先:info@alle-net.com


About

2014年11月25日 11:43に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「4 千葉アレネット情報/メールマガジン96号」です。

次の投稿は「6 ぷちヴェール日進☆「地域合同総合防災訓練」に参加しました!/メールマガジン96号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。