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7、アレルギーっ子の防災第16回 「救援物資(アレルギー対応備蓄食)輸送訓練−3」/メールマガジン98号

 メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
今回も災害復旧支援・防災におけるアレルギー支援の取り組み事例について紹介いたします。

 今回は、「救援物資(アレルギー対応備蓄食)輸送訓練」について紹介します。

 第5回では、愛知県西尾市−宮城県仙台市間の町内会・自主防災会による訓練、第8回では、愛知県名古屋市−新潟県三条市間のNPO法人・ボランティア団体による訓練を取り上げました。これら事例の続編・類似例となります。

 前回(第16回)原稿の結びの部分で、次回は、「救援物資(アレルギー対応備蓄食)輸送訓練−2」として…、と予告しましたが、これまでの原稿を振り返ると、救援物資の輸送訓練に関する原稿は、3つめとなります。付番の訂正をさせていただきます。

 第5回「事例:救援物資(アレルギー対応備蓄食)搬送訓練」 … −1
 第8回「救援物資(アレルギー対応備蓄食)輸送訓練−1」 … −2
 今回第16回「救援物資(アレルギー対応備蓄食)輸送訓練−3」

 第5回では、宮城県仙台市宮城野区福住町町内会と愛知県西尾市西野町小学校区自主防災会連絡協議会による訓練(2013年11月10日実施)について紹介しました。今回はその続編となります。福住町町内会は毎年11月の第2日曜日を訓練日としており、2014年も11月9日に実施されました。

 2013年度はアレルギー対応のアルファ化米「安心米」1食パックを80食分届けましたが、2014年度は別のものを届けることにしました。先方からの品目指定はなく、こちらで選定してよいことになったので、「全学栄 救給カレー」40食分にしました。

救給カレーについては、こちらをご参照下さい。
株式会社SN食品研究所 全学栄 救給カレー
http://www.snfoods.co.jp/products/zengakueiinfo/zengakuei/zengakuei-emergency/9932/

 「救給カレー」を選定した一番の理由は、先方の訓練では毎年定番になっている訓練の炊き出しとしてカレーライスがあることから、このメニューはアレルギー対応になっていますか?アレルギー対応の必要性を理解していますか?対応事例としてこのような商品もありますよ、というメッセージを込めて送りたいと考えたこと。

 カレーライスのルーには、アレルゲンが含まれる食材が使われていること、子どもに限らず大人のだれもが大好きなカレーライスをみんなと一緒に食べられない寂しさに気付かされたことなどがきっかけです。食物アレルギーの対応に取り組む皆さんにしてみれば、当たり前のことかもしれませんが。私にとっては、食物アレルギーの対応に取り組む活動にかかわり始めて、いまさらながら気づかされた、防災の取り組みの新たな視点です。

 「救給カレー」を選定した2つめの理由は、アレルギー対応食品の事例を共有したいという思いから、前回とは違うものを送りたいと考えたこと。

 福住町町内会は、東日本大震災で被災しました。各地から救援物資が多く集まり、町内で消費しきれない物資を、近隣地域のみならず岩手から福島まで広範囲の地域へ再配布する活動に取り組みました。この活動からも、アレルギー対応の必要性についても発信してもらえるだろうという期待があったからです。今回届けた「救給カレー」は、町内の備蓄として、他の被災地への支援物資として、あるいはアレルギー対応の啓発用品として活用してくれるものと期待しています。

 「救給カレー」を選定した3つめの理由は、自分で発注作業を経験することで、発注先・手続き・費用・発注から入荷までの必要日数などを知っておきたいと考えたこと。

 第7回原稿「アレルギー患者団体の共助の仕組みづくり−1」で、アレルギー関係団体による共同備蓄ネットワークの提案をしました。「そこまで必要か?」との問いかけもしつつ、「備蓄量も生産量も十分でないならやはり必要では?」との考えを示しました。今回の「救給カレー」発注は、この疑問を検証するためでもありました。

 実際に発注してみてわかったことは、賞味期限3年(1095日)は備蓄食として充分で、余裕のある平常時に入手しておけばよいけども、発災後に緊急発注して入荷次第被災地へ届けるというような対応はできないということ。完全受注生産品であり、入荷までに約1か月かかること。注文受け付けは毎月締切日が決まっており、タイミングが悪いと翌月扱いとなってしまうこと。最少発注単位が40個でこれ以下の少数では発注できないこと。

 最近、大手食品メーカーがアレルギー対応の子ども向けカレールーを開発し、食品スーパーの陳列棚にもいろいろな商品が並ぶようになりました。除去されているアレルギー品目、賞味期限、価格、入手までに必要な日数、最少発注単位、味のバリエーションなど、さまざまと思いますが、自分の子どもにとって最適なものはどれか、よく検討して備えておきたいですね。どんな備蓄食品にも保存期限があります。期限が近付いたら消費しつつ新しいものに入れ替える「ローリングストック」も忘れずにしましょう。

 アレっ子だって、被災時だって、やっぱり食べたいカレーライス。今回は、災害備蓄食、炊き出しメニューとしてのカレーライスについて考えてみました。

 次回は、「アレルギー対応の防災訓練−3」として、仙台市福住町町内会の訓練事例を紹介します。


防災士 中根輝彦

日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane

内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。

ご意見ご感想をいただけると嬉しいです。次の原稿を書く励みになります。アレルギー支援ネットワークの事務局まで、お寄せ下さい。
宛先:info@alle-net.com

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2015年01月30日 15:59に投稿されたエントリーのページです。

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