メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
前回までは、耐震補強についていろいろ紹介し、自宅を地震に強くすることを考えてきました。今回から、「命を守る、けがをしない」ための行動について考えていきます。
「グラッと来たら、火の始末」を最初に思い出す方は、かなり前から避難行動について取り組んできた方と言っていいでしょう。大正時代、関東大震災は昼ごはんの時間帯に発生しました。調理のために火を使っている時間帯だったことから大火事となり、地震対策は「火事を出さない」ということが強調され標語にもなりました。
数年前から学校教育の場で「お・は(か)・し・も」(押さない・走らない(駆けない)・しゃべらない・戻らない)」が標語として普及し、こちらのほうがなじみがある方もいるかもしれませんね。ほかには、「は・さ・み」「いかのおすし」「ぶたはしゃべる」「ブタベルサハラ」など生活安全、交通安全も安全標語として、いろいろ考えられているようです。
小中学生向けの土曜講座で応急手当の講座を担当しており、子どもたちに接する機会があるので、ちょっと聞いてみました。「お・は・し・も」の言葉の意味はよく覚えていて、「グラッと来たら火の始末」世代の私に、懇切丁寧に(得意げに)教えてくれました。でも、「それってどんなときに使えそう?」って意地悪な質問をしてみたら、声が小さくなって、具体的な例がはっきり挙げられませんでした。「学校の授業や避難訓練の時に言われるけど…。」って、黙ってしまいました。
一方、東日本大震災で釜石市の小中学生は、「自らの判断で」避難行動をしました。あらかじめ決めておいた避難場所へ避難したものの、そこも津波に襲われる危険があると判断して、さらに山のほうへと逃げました。
この差はどこから生じたのでしょうか?暗記力を養うのか、判断力を養うのか?答えは言わずもがなですね。とっさの判断で、その状況に応じた最善の避難行動がとれるようになるのが理想ですが、なかなか簡単にはいきません。毎日の行動を振り返ってみると、いろいろな場所や状況で、異なる対応が要求されることに気づくでしょう。「グラッと来たら火の始末」は、自宅(キッチン)にいるときのお話にすぎません。外出時はどうすればよいでしょう?ひとつひとつ考えておく必要があります。東京大学の目黒公郎教授のグループが考案した「目黒巻」が役に立ちます。
次回は、「目黒巻」を紹介し、いろいろな状況での対応について考えます。
防災士 中根輝彦
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