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1、新年のご挨拶 アレルギー支援ネットワーク 理事長 坂本龍雄 /メールマガジン121号

 新年明けましておめでとうございます。旧年中は、格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

 さて、2014年6月20日に成立したアレルギー疾患対策基本法の施行に関する厚生労働省健康局長通達(2015年12月2日)には、「国民の約2人に1人が、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患に罹患していると言われており、その患者数は近年増加傾向にあり、重大な問題となっている。アレルギー疾患の中には、急激な症状の悪化を繰り返したり、重症化により死に至ったりするものがあり、職場、学校等のあらゆる場面で日常生活に多大な影響を及ぼしている。しかし、地域によっては、適切な医療を受けられる体制の整備が進んでおらず、情報が少ないために適切な医療機関を選択できず、誤った民間療法で症状が悪化する場合も少なくない。」と、わが国のアレルギー疾患をめぐる切迫した状況が的確に記されています。巧遅は拙速に如かず。それならば、速やかな政策展開を期待したいところですがそうもいかないようです。

 しかし、ようやくアレルギー疾患対策基本法に基づく「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」のアウトラインが見えてきました。年末に開催された第9回のアレルギー疾患対策推進協議会の資料から私たちに関連しそうな箇所をいくつか抜粋してみます。

基本的な考え方に関して:アレルギー疾患に係る医療の提供体制は、アレルギー疾患を有する者が、その居住する地域に関わらず、科学的知見に基づく適切なアレルギー疾患医療を等しく受けられるよう、アレルギー疾患医療全体の質の向上及び科学的根拠に基づたアレルギー疾患医療の提供体制の整備が必要である。

 国民が、アレルギー疾患に関し、科学的知見に基づく適切な医療に関する情報を入手できる体制を整備するとともに、アレルギー疾患に罹患した場合には、日常生活を送るに当たり、正しい知見に基づいた情報提供や相談支援等を通じ生活の質の維持向上のための支援を受けることができるよう体制の整備が必要である。

学校、児童福祉施設などの設置者または管理者の責務に関して:国及び地方公共団体が講ずるアレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減に関する啓発及び知識の普及等の施策に協力するよう努めるとともに、その設置又は管理する学校等において、アレルギー疾患を有する児童、高齢者又は障害者に対し、適切な医療的、福祉的又は教育的配慮をするよう努めなければならない。

アレルギー疾患に関する啓発や知識の普及などの施策に関して:国は、アレルギー疾患を有する者の食品の安全の確保のため、アレルギー物質を含む食品に関する表示等について科学的検証を行う。食品関連業者は表示制度を遵守し、その理解を図るため従業員教育等を行う。さらに地方公共団体は表示の適正化を図るため、監視指導計画に基づき監視等を実施する。また、国は関係業界と連携し、外食事業者等が行う食物アレルギー表示の適切な情報提供の取組等を推進する。

アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策に関して:国は、アレルギー疾患を有する者への対応が求められることが多い保健師、助産師、管理栄養士、栄養士及び調理師等がアレルギー疾患への対応に関する適切な知見を得られるよう、地方公共団体に対し、関係学会等と連携し講習の機会を確保することを求める。 (中略)育成を行う大学等の養成課程におけるアレルギー疾患に対する教育を推進する。(中略) アレルギー疾患に係る知識及び技能の向上に資するため、これら職種に関連する学会等が有する認定制度の取得等を通じた自己研鑽を促す施策等の検討を行う。
 国は、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、学校給食における食物アレル ギー対応指針等を周知し実践を促すとともに、学校の教職員等に対するアレルギー疾患の正しい知識の習得や実践的な研修の機会の確保等について、教育委員会等に対し必要に応じて適切な助言及び指導を行う。児童福祉施設や放課後児童クラブ等においても、職員等に対して、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン等既存のガイドラインを周知するとともに、職員等に対するアレルギー疾患の正しい知識の習得や実践的な研修の機会の確保等についても地方公共団体と協力して取り組む。

地域の実情に応じたアレルギー疾患対策の推進に関して:地方公共団体は、アレルギー疾患対策に係る全部局を統括する部署又は担当者の設置に努める。地方公共団体は、地域の実情を把握し、医療関係者、アレルギー疾患を有する者その他の関係者の意見を参考に、地域のアレルギー疾患対策の施策を策定し、及び実施するよう努める。

災害時の対応に関して:国は、災害時において、アレルギー用ミルク等の確実な集積と適切な分配に資するため、必要なアレルギー食の確保及び輸送を行う。また、 国は地方公共団体に対して、防災や備蓄集配等に関わる担当部署とアレルギー担当部署が連携協力の上、アレルギー食等の集積場所を速やかに設置し、物資の受け取りや適切なタイミングで必要な者へ提供できるよう支援する。国及び地方公共団体は、災害時において、関係学会等と連携し、ホームページやパンフレッ ト等を用いた周知を行い、アナフィラキシー等の重篤な状態の発生の予防に努める。国及び地方公共団体は、災害時において、関係団体等と協力し、アレルギー疾患を有する者やその家族及び関係者、医療従事者向けの相談窓口の設置を速やかに行う。

 アレルギー支援ネットワークは、「アレルギー大学」(全国で唯一のアレルギー疾患、とりわけ食物アレルギーの専門知識を体系的に学ぶことができる市民講座)の開催・運営を軸にして、患者会の支援、災害時の支援、小児科アレルギー外来への管理栄養士の派遣等を進めています。今後も共同の輪を広げながら着実に活動していきます。アレルギー疾患対策基本法の強力な後ろ盾を実感しながら活動できる明るい未来が近づいてきていますが、気持ちを引き締め、飛躍を準備する1年にしたいと思います。

皆様には、引き続きご支援・ご協力のほどよろしくお願い申しあげます。


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2016年12月27日 05:23に投稿されたエントリーのページです。

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