食物アレルギーに関する臨床医学論文リスト(FACE)は、食物アレルギーに関してこれまでに報告された論文をまとめたものです。医療者や研究者のような専門家だけではなく、患者さんを含めた一般の方にも閲覧していただくことを目的に作成されています。
食物アレルギーの研究は患者さんのために
食物アレルギーに関する医学研究は世界中で行われています。医学研究には大きく分けて、細胞の働きや動物実験などの基礎研究、病気の実態調査や治療法の検討などの臨床研究の2種類があります。いずれも患者さんやそうなる可能性のある方に役立てようと行われるものです。すなわち研究は、医療者だけでなく一般の方に還元されるために行われるものです。しかし、一般の方が直接その成果を知る機会はほとんどありません。マスメディア等で取り上げられたとしても、事実が歪曲されたり一部誇張して伝えられたりすることもあります。そこでFACEは、一般の方にも食物アレルギー研究の成果である医学論文を直接ご覧いただくために作成されました。もちろん専門家の方々にもご覧いただいて、明日からの診療・研究等のお役に立てていただければと考えています。
エビデンスレベルの高い医学論文を
医学研究のうち臨床研究は、医療者が行う日々の医療に直接影響を及ぼし、また一般の方にとってもその結果が比較的理解しやすいものです。そこでFACEに掲載する論文は臨床研究の論文としました。現時点では、このうちエビデンスレベル*が高いとされる系統的レビュー(システマティックレビュー)に焦点を当てて、別途定める検索方法によって見つかった論文をすべて掲載しています。
*臨床研究は、研究デザイン(研究の実施方法)によってその結果のエビデンスレベル(真実により近い結果と評価されるレベル)が決まっています。このレベルが最も高いとされている系統的レビューは、過去に報告された臨床研究を余すところなく集めて、総合的に評価したものです。いろいろな研究のかたより(たとえば年齢が低い患者だけの研究とか専門施設だけの研究とか)を極力減らした結果が得られるため、もっとも真実を反映した結果に近いとされています。
論文を参照する際の注意事項
- FACEは論文そのもの内容を記したものです。実際の診療では、これらを基にして病気の重症度やその時の体調、医療事情、社会環境など患者さんを取り巻く状況に大きく左右されながら行われます。したがって、必ずしも論文の主張に従った治療がよいとは限りません。あくまでも論文の内容は診療する上で参考となるものとお考えください。
- FACEに掲載されている論文は、最終更新日までに検索されたものです。このため、その後に報告された論文は掲載されていません。医学の分野では日々新しい事実が判明していますので、皆さんが診療をしたり診療を受けたりする際には、最新の論文も参照されるようにお願いします。
- FACEでは多くの方が理解しやすいように、内容の一部が変更されたり省略されたりしていることをご了承ください。正確な内容については、論文そのものを自分自身で読んで(あるいは専門家に読んでもらって)確認いただきますようにお願いいたします。
最後にFACE作成者からの3つのお願い
- 患者さんも、論文と向き合う(FACE)ようにしましょう。
- 医療者は、臨床現場では必ず患者さんを診て(FACE)診療しましょう。
- あくまでも論文結果は真実の一面(FACE)にしか過ぎないことを忘れないでください。
利用者の皆様からのご意見、ご提案をお問い合わせフォームにて受け付けております。お気づきの点がございましたら、ぜひお寄せください。(個別の治療や診療行為についての質問等は受け付けておりませんのでご了承ください。)
作成者
[作成責任者]
二村昌樹(国立病院機構 名古屋医療センター 小児科)
[作成協力者(五十音順)]
- 小野学 (あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 酒井一徳(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 崎原徹裕(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 杉浦至郎(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 田上和憲(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 田島巌 (あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- エリザベス ドニー(Centre of Evidence Based Dermatology, University of Nottingham)
- 遠山優子(認定NPO法人 アレルギー支援ネットワーク)
- 花田優 (国立病院機構 名古屋医療センター 小児科)
- 林直史 (あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
- 中川朋子(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
[監修]
伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター アレルギー科)
本研究はJSPS科研費 25860897 の助成を受けたものです。