桜の開花も進み、街が華やいで春の訪れを楽しんでおられることと思います。しかし、アレルギー患者様にとっては、いろいろ大変な時期でもあります。
中でも新入園・新入学を迎えたお子様をもつ保護者の方は、園や学校側のアレルギーの理解、給食や職員等の受入れ体制、万が一の事故に備えた準備と対応法など、情報がない中で手続きや準備に追われ、本当に大変だったと思います。
しかし、今も園や学校側と調整が思うように進まず、モンスターペアレントと誤解され、不安だけが膨らんで、すっかり焦燥しきっている方もおられるかも知れません。そんな悩みを抱えている方は、まず認定NPO法人アレルギー支援ネットワークに相談してみてください。それから、お住まいの近くにアレルギー患者会があったら、入会をお勧めします。自分が抱えている問題は、会員の中に経験者がいたり、会員内外の情報交換の中で、問題解決の糸口を見つけることができるかもしれません。そして、最大のメリットは、同じ境遇の人に話すことによって、分かりあえる仲間が出来ることです
又、認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク主催のアレルギー大学を受講できれば、患者の立場だけでなく、いろいろな分野の方たちと交流ができ、卒業生も含めアレルギーに詳しい方々とともに、アレルギー問題をみんなで解決することができます。
昨年12月に東京都調布市で小学校5年生の女の子が、アナフィラキシーショックで亡くなりました。この大切な命を絶対に無駄にしてはなりません。
しかし、国・園・学校・給食センターなど、全国的にアレルギーに詳しい人材の不足や設備も整っておらず、事故のリスクは依然高いままです。調布市の事故は、ヒューマンエラーが重なっておきましたが、一番の原因は、エピペン注射が初期に打てなかったことと、そして、アナフラキシーショック時の体の内部は、どの様になってしまっているか、本当の理解ができていなかったことによる対応ミスです。
保護者の中で、お子さんにエピペン注射をためらってできなかったけど、今まで何度も助かったから、打てなくても大丈夫と思われている方はいませんか?それは、たまたま良いほうの偶然が重なって助かったと思わなくてはなりません。職員がエピペン注射をためらったり、いつもよりショック反応が著しかったり、AED操作ができる人がいなかったり、救急車の到着が遅れ病院の搬送が遅れたりと、何か一つでも命のバトンが渡せなかったらどうなっていたでしょう。エピペン注射は、AEDと同じ一時救命処置に欠かせない道具だということを忘れてはいけません。薬はどんなものでも、メリットもあれば当然デメリットもあります。ノーリスクの薬はないことをちゃんと理解しておかなければ、いつまで経ってもエピペン注射をためらってしまいます。
ショック症状の時は、まずエピペンを注射して119番通報します。血管が収縮して急激な血圧低下が起こっています。血液の戻りが非常に悪くなっているのです。生命維持をさせるためには、一刻も早く心臓や脳などに血液を戻さなくてはなりません。おう吐物が喉に詰まらないように、顔を横に向け寝かせ足は毛布や座布団などで高くし、血液を戻しやすくします。間違っても患者を起こしたり、立たせたりしてはいけません。そして、やむを得ない場合を除き、患者から目を離さないで下さい。AEDがあれば電源をいれパッドを貼り、心臓の動きをAEDに監視してもらいます。AEDの指示に従い、場合によっては胸骨圧迫と人口呼吸をしたり、除細動スイッチを押します。
こういった一連の対応が教員だけなく、保護者の方も出来なければなりません。それは、アナフィラキシーショックは、いつどこで起こるか分からないということと、事故のリスクを下げることはできても、ヒューマンエラーをゼロにすることはできません。事故はおきてしまうのです。しかし、正しい救命処置をすれば助けられます。日本赤十字社の各支部や各市町村で行われている消防の一時救命処置の講習を受けて、いつでも救命処置が出来るようにしておきましょう。
日本赤十字社 http://www.jrc.or.jp/search/study-link/index.html
全国消防本部 http://www.fcaj.gr.jp/link/