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3 防災のはなし 第2回「共助」 防災士 中根 輝彦/メールマガジン84号

メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。前回より防災の話題をお届けしています。前回は「自助・共助・公助」とは、「自助」でしかできないこと、「自助」として何をどこまでやるのか覚悟を決めていただきたいというお話をしました。

 第2回となる今回は、「共助」についてのお話です。

 「共助」として取り組む内容はきわめて広範囲になります。前回お話したように定義や区分が曖昧で、取り組み方法や主体が変わると範囲は広くも狭くもなります。どの立場で誰のために取り組んでいるのかを意識して活動することが重要です。

 地域防災では一般的には、自治会・町内会や自主防災会、消防団や水防団・警防団などの地域団体が主体となって、対象となる地域や所属する住民がみんなで活動することが多いですが、地域コミュニティが崩壊して活動主体となる組織がない場合は、NPO法人やボランティア団体に頼っている地域もあります。

 本来の地域防災としての共助を意識するなら、隣近所の勝手知ったる間柄でお互いが支えあうのが理想的ですが、活動の基盤となるコミュニティづくりから始めなければならない地域もあります。少なくとも、いざというときに駆けつけてくれない外部団体に丸投げして、活動ができているつもりになり、実際は自分たちだけでは何もできない地域になってしまっているなどというのは避けたいところです。

 食物アレルギーを抱える方やその家族が、災害への備えを考えるときに一番気になるのは、食事に関する取り組みでしょう。地域防災の取組みの中でも「共助」として、アレルギー対応の非常食を備蓄することや、炊き出しで配布される食事の内容など、いろいろお願いしたいことも出てくるでしょう。

 でも、いきなりアレルギー対応のお願いをしてもうまくいかないことが多いです。まずは、前述の地域コミュニティをしっかりとした活動ができる地域にすること。自分たちもその活動に加わって相互支援の雰囲気を盛り上げること。その次が、アレルギー支援は当事者だけでなく周囲の人の支援が必要なことを理解してもらうこと。自分たちの支援をお願いするのはその後です。この順番を間違えると「自分勝手」「わがまま」といったレッテルを貼られてしまうかもしれません。

 支援して欲しいのはアレルギーの方たちばかりではありません。「災害時要援護者」といわれる方々です。避難行動や避難所生活などを一人でするのが困難な方です。一般には、高齢者、乳幼児、妊婦、傷病者、障害者、外国人など日本語が理解できないため必要な情報が得られない人などが該当するといわれています。

 このような方々の支援も必要となる場合、「できることから…」「できる範囲で…」「専門家がいないからわからない」などと後回しにされたり、できない理由を挙げて協力してもらえなかったりします。自分も支援してもらいつつ他の方の支援もする「win-winの関係」を作っていくことが、アレルギー支援に理解を示してもらう近道かもしれません。

 地域によっては、該当する人がいないから特別な対応をする必要はないと思われていることもあるかもしれませんね。個人のプライバシーを知られたくないからと、食物アレルギーであることを周りの人たちに知らせないでいると、支援してもらうチャンスを失ってしまうかもしれません。勇気のいることですが、理解してもらうためには、ある程度のプライバシーの開示もやむをえないところがあります。日頃の付き合いから、信頼できる協力者を増やす努力も必要になるかもしれません。

 今回は、地域防災活動で、アレルギー支援の協力をお願いするためには、自分たちも積極的に活動に参加して相互支援を盛り上げ、他の要援護の方への支援もしつつ、信頼を勝ち取ることが大事なことをお話しました。

 次回は、より広くアレルギー支援の必要性を訴えるために、「公助」をどのように生かすかについてお話したいと思います。

防災士 中根輝彦

日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane


内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。

ご意見ご感想をいただけると嬉しいです。次の原稿を書く励みになります。アレルギー支援ネットワークの事務局まで、お寄せ下さい。
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2013年11月29日 13:13に投稿されたエントリーのページです。

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