メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。防災の話題も3回目。前回は「共助」のひとつ、地域防災活動において、アレルギー支援の協力をお願いするためには、自分たちも積極的に活動に参加して相互支援を盛り上げ、他の要援護の方への支援もしつつ、信頼を勝ち取ることが大事なことをお話しました。
第3回は、「公助」についてのお話です。
「公助」は、役所や官公署など公的機関が中心になって取り組む活動です。税金や寄付金などの公的資金を投入して実施されるため、公平性が求められます。また、議会承認が必要になったり、説明責任を果たすため、内容や実施方法について計画性を持って対応することが必要になってきます。
そのため、対策が実施されるまでに時間がかかる場合もあります。即断即決が必要な対策は、なかなか実現しないこともあります。一方、ひとたび必要性を認知されて対策が広がりを見せると、これほど心強いものはありません。特に資金面では、一個人や小グループの援助では叶えられない支援も受けられる可能性があります。社会福祉に関わる施策となればなおのことです。
これらの特徴を考えると、社会福祉的な支援となる内容で長期的な計画で取り組める施策となるものが受け入れられやすいのではないかと思います。災害時のアレルギー対応食支援の場合なら、備蓄食料の内容を通常食からアレルギー対応食へ切り替えるなどが考えられます。
私の地元の西尾市の場合、市役所防災課が備蓄するアルファ化米をアレルギー対応品に順次切り替えています。期限切れ近くなると自主防災会の訓練用に放出し、新しく補充するものをアレルギー対応品にすることで数年かけて切り替える計画です。
facebookの友達から教えてもらった例ですが、川崎市では地域防災計画に備蓄食料としてアレルギー対応品を配置するよう指定しているそうです。インターネットで検索すれば確認できます。
役所が取り組むと、アレルギー対応の必要性を一般市民にも理解してもらうチャンスが増えます。自治体間の情報交換や施策検討で広がりを見せると、もう、社会的に認められた施策といっても過言ではありません。
アレルギー支援の必要な当事者が、役所の取り組み事例を共有し、評価し、まだ、取り組んでいないところへ提言していく。議員へ陳情する。マスコミへ取材要請や投稿をする。このような「当事者による共助」、つまり、支援が必要なことを訴える活動が社会の認識を変え、やるのが当たり前の世の中を作っていく。最近は、エピペン講習がそのような盛り上がりを見せているように感じます。
公助による支援は大変心強いですが、前回までにお話したように、「自助」「共助」があってこその「公助」です。自助努力なしに、ただただ「公助」に頼るのはいただけません。ここのところは忘れずに取り組みましょう。
今回は、広くアレルギー支援の必要性を訴え、より多くの支援を得るために、「公助」をどのように生かすかについてお話ししました。
次回からは、アレルギー支援の取り組み事例について、より具体的に紹介していきます。
防災士 中根輝彦
日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane
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