アレルギーっ子の防災
★第12回 2014.9.22「自治体のマニュアル等への要望反映」 防災士 中根輝彦
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メルマガをお読みの皆さん、こんにちは。防災士の中根輝彦です。
災害復旧支援・防災におけるアレルギー支援の取り組み事例について、一つ一つ紹介するシリーズ、第8回目です。
前回は、「防災啓発ツールへの反映」により、アレルギー支援の必要性理解を加速させる試案についてのお話でした。
今回は、「自治体のガイドラインやマニュアルへの要望申し入れの事例」について紹介します。
最近は、自治体とNPO法人やボランティア団体などが協働して、社会問題の解決にあたろうという「市民協働」の動きが活発になってきました。協働できそうなテーマなら何でもありというくらいな感じがします。同じゴールに向かって、それぞれの立場を尊重しながら、得意なところを分担し合う。活動を通じて相手のことも理解できて、よい関係を築ける。大変良い傾向だと思います。
私の地元の西尾市の場合、地域防災活動の支援に関しては、この仕組みがうまく回っているように思います。私が所属する西尾防災リーダー会と市役所危機管理課は信頼関係ができて、補完しあう体制ができています。他にも防災啓発団体があり、それらの団体との役割分担も調整しつつ、一緒に活動をしています。みなさんの地域はどうですか?行政の担当部署とよい関係を築けていますか?
このような市民協働の活動があり、行政から信頼されるようになると、なにかと相談事も持ちかけられます。該当分野における市民代表として意見を求められたり、市民の声を集めて提言したり、何かと要望を発信するチャンスが訪れます。もちろん、公共性や実現性などを検討した妥当な要望意見であることを示すことも、採用してもらうためには必要でしょう。私欲に走るようでは、信頼が崩れてしまいます。
アレルギー支援ネットワークは今月初めに、名古屋市の災害時の避難行動ガイドライン策定について、担当部署が作成した案に対して、意見を提出する機会を得ました。前述の要望意見を提言する活動の一例です。災害時のアレルギー関係者の行動について提言するチャンスというわけです。
今回の検討作業では、災害対応のマニュアルや計画がかなり細分化されてきていること、地域により取り組み状況にかなり差が出てきていること、アレルギー対応の啓発がまだまだ足りていないことなど、いろいろ気づかされました。名古屋市の検討内容をここで公開することはできませんが、内容を汎化して紹介します。
今回の検討内容は避難行動についてです。災害が発生した直後から避難所などで避難生活を始めるまでの期間の行動に関して、アレルギー患者が注意すべき点や共助・公助の支援策として考えられる内容について意見を求められました。
このメルマガではこれまで、アレルギー対応の備蓄食料確保など食事に関することを取り上げてきました。命に直結する最優先課題と考えているからです。でも、そればかりではなく、最重要ではなくとも、必要な対策についてもれなく検討を進めていくことが大事であることに気付かされました。ふだんから議論しておかないと提言するチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。
避難行動と一言でまとめてしまうには無理があるくらい、いろいろな状況が考えられます。季節・時刻・天候・災害の種類…。いろいろな設定で、発災直後からの行動をシミュレーションして弱点や対策を検討する手法として「目黒巻」があります。東京大学の目黒先生のチームが開発したもので、発災直後から数日・数か月・数年とあらかじめ決めた時間軸の行動を長い巻物状の用紙に記入して、検討するものです。
このようなツールを活用して、あらかじめ検討を進めておけば、今回の検討作業でも、具体的に提言できたでしょう。残念ながら今回は十分な検討ができておらず、提出期限までにまとめることができませんでした。
どんな災害にも概ね共通するのが、倒壊家屋から舞い散るほこりやアレルゲン物質・土砂やがれきの粉じんなど。アレルギー患者に悪影響を及ぼす物質と発生状況、それらを防いだり軽減したりする保護具などの備えや対策など、この原稿を書きながらも、検討すべき内容がどんどん浮かんできて、要望意見提出期限までにまとめられなかったのが残念でなりません。
要望提言のチャンスをしっかり生かせなかったこと、対策検討が十分でなかったことなど、反省すべき点の多い事例となりました。次のチャンスまでには少しでも前進するように頑張りたいと思っています。
みなさんも、こんな悔しい思いをしないで済むように、ふだんからいろいろと議論してチャンスを逃さないようにしましょう。
今回は、「自治体のガイドラインやマニュアルへの要望申し入れの事例」について紹介しました。
次回は「クロスロード活用事例」について紹介します。
防災士 中根輝彦
日々つぶやいています。
@TeruhikoNakane
内容は筆者個人の考え方に基づくものです。アレルギー支援ネットワークを代表するもの、方針を反映したものではありません。
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