防災課など各自治体に対してお願いしたいことを、以下にまとめました。

アレルギー対応の食料(アルファ化米やレトルト米など)とミルクの備蓄

災害に備え各家庭で食料の備蓄をする必要性についての啓発活動を充分した上で、自治体(行政)としても、食の要援護者のために備蓄をしておくことが必要です。小麦製品に比べ、アナフィラキシーショックなど重篤な症状をおこしにくい米製品、とりわけ、表示義務・推奨の28品目を使用していないアルファ化米やレトルト米の備蓄をお勧めします。さらに、ユニバーサルの考え方で、主食のアルファ化米やレトルト米などは、すべての備蓄をアレルギー対応にすることで、配布される方の安心も確保でき、災害時の誤食事故を防止することができます。詳しくは、アレルギーポータル(https://allergyportal.jp/)「災害時の対応」の「大規模災害対策におけるアレルギー用食品の備蓄に関する提案」(https://www.jspaci.jp/gcontents/antiallergic-food/) を参考にしてください。
また、災害時に、牛乳アレルギーの赤ちゃんの命を守るために、一定量のアレルギー対応育児用ミルクを、ミルク全体の備蓄量のうち2-3%程度は備蓄して欲しいと考えています。育児用ミルクは消費期限が短いため、保育園や学校給食に活用するなどの工夫も必要になります。

アレルギー用支援物資の保管場所と、災害時の相談・受け入れ窓口

阪神淡路大震災や東日本大震災など過去の災害では、アレルギー対応物資を被災地に送っても、一般物資に紛れてしまい、食物アレルギー患者の元に届かない、という事例が頻発しました。そこで、アレルギー対応物資は医薬品支援物資と同様の扱いにすること、アレルギーなど食の要援護者の相談窓口や支援物資の受け入れ窓口を決めておくこと(例えば、国立病院機構や市民病院、県庁など公的機関に特殊食品ステーションを特設するなど)を平常時に決めて、自治体の災害対策マニュアルの中などに掲載しておくとよいでしょう。

市民への啓発活動

アレルギー疾患を持つ患者家族のみならず、子育て中の保護者は特に災害時の備えが必要であることを、保健所・保健センターにおける「健診」などの機会に周知することが一番有効です。

また、防災課や社会福祉協議会、消防、赤十字奉仕団、自衛隊、自主防災会、などが参画をする自治体(行政)主催の「防災訓練」は、アレルギーに関する啓発活動の絶好の機会です。アレルギーのブースを設けたり、炊き出し訓練の中に、アレルギー対応を取り入れたりすることで、多くの関係機関や市民にアレルギーに関する啓発活動をすることができます。炊き出しは、過去の災害時の対応を見ると、ほとんど原材料表示がなされていない為、食物アレルギー患者は、炊き出しの食事を食べることができなかったり、食べて症状が誘発されたりすることがありました。訓練の中で、食物アレルギーやアレルギー表示について勉強することで、災害時に安全な炊き出しを提供することができます。地域で患者会やNPO団体が活動をしている場合は、協働をして啓発活動をするとよいでしょう。

「炊き出し&場づくりの知恵袋」(PDF)

 認定NPO法人レスキューストックヤード作成炊き出し&場づくりの知恵袋」(PDF)

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