即時型アレルギー

「食物アレルギー」という言葉は、多くの場合は食べてからすぐに症状がおきる「即時型アレルギー」の意味で使われます。症状は、食べた直後から1時間後、遅くとも4時間以内に見られます。じんましんや紅斑(皮膚が赤くなること)、浮腫(むくみ)が一番多い症状ですが、咳・喘息発作、嘔吐・腹痛・下痢などが見られることもあります。血圧が下がって意識が遠のいてしまうアナフィラキシーショックが、一番重い症状です。

即時型アレルギーとIgE抗体

即時型アレルギーは、食べ物に対するIgE抗体が働いて起こります。病院では、血液検査で疑わしい食品に対するIgE抗体があるかどうかを調べてアレルギーの診断をします。
ただし、IgE抗体があっても、実際に症状が出るとは限りません。希には、IgE抗体が陰性でも症状が出る場合があります。正しい診断のためには食物負荷試験などで実際に食べたときの症状を確認することが必要です。

アレルゲン

アレルギー症状を起こすものをアレルゲンと言います。例えば、卵を食べてじんましんが起きる人にとっては、卵がアレルゲンです。もう少し詳しく見ると、食品に含まれるタンパク質が、食物アレルギーを起こす主な成分であり、アレルゲンと呼ばれます。卵白の場合、オボムコイド、オボアルブミン、リゾチーム、オボトランスフェリンといった何種類かのタンパク質がアレルゲンになることが知られています。

遅延型アレルギー

ある食べ物を食べた翌日や二日後に、湿疹が悪くなるといった症状が見られる場合、「遅延型アレルギー」の可能性を考えます。その食品に反応するリンパ球の働きで起きる症状で、IgE抗体は関係しません。リンパ球の反応を確認するためには、血液からリンパ球を取りだしてアレルゲンと混ぜ合わせ、3日から7日間培養して反応を見る「リンパ球幼弱化試験」を行います。実際にはこの検査は一部の大学病院などで研究として行われているだけで、一般の臨床検査ではできません。食べたものと症状の因果関係を確認するのは、食物負荷試験を繰り返し行うしかありません。

食物不耐症

特定の食べ物が体に症状を起こす時に、抗体やリンパ球など免疫力が関係しないものは、食物不耐症といって、アレルギーとは区別します。食品中に、ヒスタミンやアセチルコリンといった痒みを引きおこす物質が含まれている「仮性アレルゲン」などは、その一例です。脂っこいものを沢山食べると下痢をしたり湿疹が悪化したりするのも、アレルギー反応ではなくて食物不耐症です。大豆アレルギーなどと間違えないようにすることが大切です。