皮膚のバリア機能障害や免疫調節機能の障害など遺伝的な要因と環境的な要因があります。アトピー性皮膚炎の皮膚は炎症のない時でも、セラミドと天然保湿因子が不足していることが知られています。
これらは、炎症によって失われることもありますが、もともと不足していることもあると報告されています。そのため細胞の間に隙間ができて、皮膚バリアが弱くなると共に細胞内の水分が失われ皮膚は乾燥しやすいのです。

どうしてなるのか?

アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能の弱い体質と、皮膚から侵入したさまざまな物質や微生物にアレルギー反応を起こしやすい体質の2つが1つになって起こります。

つまりバリア機能が傷んだ皮膚から、さまざまな刺激物質やアレルゲンが侵入し炎症、(かゆくて赤くなりブツブツが出たり腫れたりする状態 )を起こします。

1.遺伝的要因(皮膚バリア機能障害・免疫調節障害)

乾燥した角層細胞は剥がれ落ちやすく、その隙間からいろいろなものが入り込みます。アレルゲンや刺激物質が入り込めば炎症が起こり、細菌が入り込むと繁殖して化膿することもあります。炎症のない時もスキンケアをすることによって、低下しているバリア機能を高めることが皮膚を良い状態に保つ秘訣です

正常の皮膚では、表面に角層があり、その上をさらに皮脂膜が覆っています。皮脂は皮脂腺から分泌される脂質で、この角層と皮脂により外部から刺激物質やアレルゲンが侵入することを阻止しています。各層には細胞間脂質のセラミドがあり、細胞と細胞をしっかり接着させ、皮膚バリアを強化しています。角層細胞の中にある天然保湿因子(NMF)は、アミノ酸が主となっている成分ですが、細胞の中に水分を取り込む働きをしています。

2.環境因子

アトピー性皮膚炎の悪化因子(環境因子)としては、アレルギー的因子と非アレルギー的因子があります。年齢が上がるにつれて、悪化因子も多少変化します。

3.小児の皮膚の特徴

  • 成人に比べて皮膚が薄い。
  • 生後1か月までは皮脂の分泌量が多い。その後皮脂の分泌は著しく減少し、思春期になると増加する。
  • 乳幼児は角層の水分量が成人に比べて少ない。
    角層の遊離アミノ酸の量も減少し、頬が特に少ない。冬季は特に乾燥しており、外部環境に影響を受けやすい。

4.痒みを引き起こす刺激

5.悪化因子(アレルゲン)

アレルゲンの特定は、病歴、血液検査、皮膚テストなどを参考に、可能なものであれば、除去ないし負荷試験を行ってから判断すべきであり、出ている症状のみで判断されるものではありません。また、アトピー性皮膚炎では多くの悪化要因が重なっている場合が多く、アレルゲン除去は補助療法であり、それだけで完治が期待されるものではありません。